コンビニエンスストア「ファミリーマート」を運営する株式会社ファミリーマートと微細藻類ユーグレナ(和名ミドリムシ)の食用培養やバイオ燃料「ユーグレナバイオディーゼル燃料」の研究を行う株式会社ユーグレナは7月31日、ユーグレナバイオディーゼル燃料の利用・普及拡大に向けた取り組みを共同で開始すると発表した。ファミリーマートの横浜市内の店舗から出た使用済み食用油(廃食油)をユーグレナバイオディーゼル燃料の一部として活用、燃料はファミリーマートの配送車両(1台)に再利用する。
バイオ燃料は、化石燃料と比べると理論上CO2排出量が少ない再生可能な液体燃料として、欧米を中心に世界で普及が進む。ファミリーマートは今年、「ファミマecoビジョン2050」を策定、持続可能な社会の実現に貢献するため、2030年および2050年に向けた中長期目標として「温室効果ガス(CO2排出量)の削減」「プラスチック対策」「食品ロスの削減」の3テーマに基づき数値目標を設定している。ユーグレナ社とは共同で微細藻類ユーグレナを配合した食品の商品開発を2014年から実施しており、さらにユーグレナ社の「日本をバイオ燃料先進国にする」ことを目指す「GREEN OIL JAPAN」宣言に賛同したことで、今回の取り組みが実現した。
ユーグレナ社は18年10月末、横浜市鶴見区に日本初のバイオジェット・ディーゼル燃料製造実証プラントを竣工。ここで製造するユーグレナバイオディーゼル燃料は、ユーグレナなどの微細藻類油脂や使用済み食用油を主原料とすることで、食料との競合や森林破壊といった問題を起こさず持続可能性に優れた燃料となることが期待されている。また、化石由来の軽油を使用している既存のエンジンに問題なく適用可能であり、水素や電気といった代替エネルギーへの移行に必要とされる多大なインフラコストもかからない。
8月下旬からファミリーマートの配送車両でユーグレナバイオディーゼル燃料を使用開始する。使用済み食用油の回収は5月1日から始まっており、月300リットルを集める。9月以降、本格的に再利用していく。この取り組みは、横浜市とユーグレナ社が取り組む「バイオ燃料地産地消プロジェクト」の活動の一環として位置付けられている。横浜市内の「地産地消」モデルといえるだろう。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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