世界中の政府機関がコロナウイルスの感染経路を追跡するための監視システムを導入し始めている。こうしたシステムがパンデミックの沈静化後も退かずに、個人のプライバシーを脅かす可能性があると疑念を抱く声もある。3月24日、ニューヨーク・タイムズが伝えている。
韓国は今年1月、新型コロナウイルス陽性者の詳細な行動履歴を管理し始めた。通勤経路上の乗換駅やマスクの着用、や趣味で過ごすカラオケ店など、詳細な情報が記録された。やがて患者データが悪用されて個人が特定されると、韓国政府は「患者のリスクを最小限に抑えるため」にデータ共有ガイドラインを改訂するに至った。
ポーランドでは自宅での隔離措置を受けている市民に対して位置情報付きのセルフィー(自撮り写真)を20分以内に返信するようSMSで要求している。無視をすれば警察が確認に来ることに。フランスやベルギーでは緊急法案により、数か月間の通信データの収集が可能となった。大手通信事業者オーストリア・テレコムA1は政府に対し匿名化された位置情報への制限付アクセスを認めた。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はセキュリティ機関に対し、本来はテロ対策として構築されたシステムを活用してウイルス感染の疑いのある人々の居場所を追跡することを認めた。ホワイトハウスはグーグルやフェイスブックなどのテクノロジー企業と、コロナウイルスの追跡を目的に携帯電話の位置情報の提供に向けた調整を進めている。
コロナウイルス沈静化後に政府がこれらの大規模な監視システムを手放すとは限らない。大量の位置情報は政敵や権力に対抗する市民を特定するのに便利だ。ブリュッセルのニュースメディアEUobserverによると、パンデミックに関連する「ビッグブラザー・アプローチ」で既にベルギー、フランス、イギリスが欧州司法裁判所で提訴されている。
監視技術監督プロジェクト(S.T.O.P)の幹部アルバート・フォックスカーン氏は、各レベルの行政機関にパンデミックの対応策を強化する権限を与えている状況が「最終的に米国の公民権の在り方を根本的に変える可能性がある」としている。
特定の企業や政府のような「信任された第三者」に依存することなく、ネットワーク上で二者間の送金を実現するためのデジタル通貨として提案されたのがビットコインだ。ビッグブラザー・アプローチへの懸念が、ビットコインの重要性を際立たせるとする見方もある。
【参照記事】Coronavirus surveillance may mean the end of personal privacy

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