気候変動など環境分野に取り組む国際NGOのCDPは、「COSTING THE EARTH – CLIMATE DAMAGE COSTS AND GDP」と題したレポートで、気候変動が引き起こすGDP成長率の減少や損害について報告している。
調査はパリ協定に沿った2度目標が達成されるシナリオ(2度シナリオ)と2100年までに4度の気温上昇が起きるシナリオ(参照シナリオ)という2つのシナリオを対象として、英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)が実施している。気候変動によるGDPへの影響の測定は単一モデルによる評価には限界があることから、本調査では3つの異なるモデルが使用された。
調査では、2050年までに両シナリオでGDP成長率が10%減少、参照シナリオでは2100年時点で25%減少することが判明したことから、2度シナリオと参照シナリオのどちらのケースにおいても早急に電化への取り組みを進め、炭素除去技術を確立していくことが求められる結果となった。
また、気候変動による年間の損害は、最終的に参照シナリオが31.2兆米ドルに達し、2度シナリオの1.8兆米ドルの17倍になると推定されている。2度シナリオの場合、2075年までに損害はピークを迎え横ばいとなるのに対し、参照シナリオでは同時期には2度シナリオの3倍の損害に達し、2100年を境に急上昇していくシミュレーションとなっている。損害を緩和するためには、2度シナリオのケースでも年間約7兆米ドルのコストが必要になる試算だ。
気候変動緩和に向けた対策を取らない参照シナリオでは、GDP成長率の一層の減少とさまざまなコストが発生することが判明した本調査。レポートでは、適切な政策措置によってこうしたコストが「はるかに低くなる」とされており、政策立案者に早急な対応を求めている。また、こうした政策を待つだけではなく、気候変動の影響を受ける企業や金融システムは気候変動緩和に向けた投資を積極的に取り組む必要があるとしてレポートは締めくくられている。
【参照URL】COSTING THE EARTH – CLIMATE DAMAGE COSTS AND GDP
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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