資産運用大手のブラックロックは日本時間の1月18日、AIを活用した投資ポートフォリオのインパクト測定ツールを提供している米のベンチャー企業Clarity(クラリティー)AIに少数投資したと発表した。クラリティー社は持続可能性分析とデータサイエンスは3万超の組織の社会的・環境的インパクトに関する知見を提供するプラットフォームを擁している。ブラックロックは、クラリティー社の能力を当社の投資専門家向けエンドツーエンド・オペレーティング・システムの「アラディン(Aladdin)」と統合する。
クラリティーAIは、ビッグデータと機械学習を活用して実用的な持続可能性とインパクトのある知見を生み出し、企業、国や地方自治体の独自の幅広い投資対象に拡大する。その独自技術と環境的・社会的インパクトを網羅するデータサイエンス能力は、約200カ国にまたがる3万社以上の企業を分析する。また投資家が持続可能性に関する新たな開示義務を果たせるよう、規制報告や顧客報告についても支援を提供している。
アラディンはブラックロックのエンドツーエンド投資管理・運用プラットフォームで、資産運用会社、年金基金、保険会社、企業の財務担当者などの機関投資家に活用されている。高度なリスク分析と包括的なポートフォリオ管理、トレーディングとオペレーションのツールを、1つのプラットフォーム上で組み合わせているのが特徴。
ブラックロックは「投資家は差し迫ったリスクと将来的なリスクを管理する上での重要な検討事項として持続可能性を重視するようになっており、より優れたデータはその基礎となる。ブラックロックは持続可能性を投資の標準と位置づけており、ESGデータと技術の基準向上に取り組んでいる」と説明。そのうえで今回の統合について「クラリティーAIの機能は、機械学習を活用してアラディンの顧客がより広範な企業を分析し、開示義務に対応し、より持続可能なポートフォリオを構築できるよう支援する」としている。
クラリティーAIも「当社の能力とESG、持続可能性、インパクトに関する包括的なデータがブラックロックのアラディン・プラットフォームに統合されることで、変革が起きる。クラリティーAIのデータと分析は、世界最大規模の最も重要な投資家にさらに提供される」と期待を寄せた。両社は、2025年までにESG投資の世界運用資産は倍増すると見ている。
ブラックロックは最近、投資家が気候リスクを把握して行動する支援を行うアラディン・クライメットも発表した。同社ではこれを気候変動の物理的リスクと低炭素経済への移行リスクの両方を投資家がポートフォリオ上で測定できる初のソフトウエア・アプリケーションとして打ち出している。
【参照記事】ブラックロックがクラリティーAIとの戦略的パートナーシップを通じてアラディンの予見的持続可能性分析および報告能力を強化
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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