英国ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)が、企業のサステナビリティのゴールドスタンダードである「CDP」と「DJSI(Dow Jones Sustainability Index)」による評価を獲得した。
CDPは2000年、イギリスで設立された国際的な環境非営利団体(NGO)で、設立時の組織名は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(Carbon Disclosure Project)」だったが、炭素(カーボン)以外にも活動対象が広がったため、略称のCDPを正式名称としている。CDPの年次環境開示と採点プロセスは企業の環境透明性のゴールドスタンダードとして認知されている。22年には、130兆米ドル以上の資産を持つ680以上の投資家と、6.4兆米ドルの調達費用を持つ280以上の主要購買者が、CDPのプラットフォームを通じて、環境影響、リスク、機会に関するデータの開示を企業に要請している。
企業の評価は、情報開示の包括性、環境リスクに対する認識と管理、野心的で有意義な目標設定など環境リーダーシップに関連するベストプラクティスの実証に基づいて「A」から「D-」までのスコアを割り当てている。開示がない、あるいは情報提供が不十分なものは「F」となる。
12月15日付のリリースによると、BATは今年参加した1万8700社以上の企業の中で「A」評価を受けた。Aは評価の上位2%のスコアで、透明性のある報告、野心的な目標の設定、持続的な成果の実現など、主要な環境問題に対する企業のアプローチ、情報開示、パフォーマンスが評価された。
DJSIは、S&Pが運営するインデックス・ファミリーで、数千の上場企業のサステナビリティ・パフォーマンスを評価している。DJSIに採用される企業は、S&Pグローバル・コーポレート・サステナビリティ・アセスメント(CSA)のESGスコアに基づき選定され、1万3000社以上の上場企業が参加する、企業の持続可能性の実践に関する年次評価となっている。
BATは21年連続で選定され、ESG (環境・社会・企業統治)分野における長年のコミットメントのハイライトとして、環境報告、人材育成、業務上の環境効率、サプライチェーン・マネジメント、社会報告、マテリアリティの6分野で100%のスコアを達成した。
また、同業界では唯一、DJSI World Indexの構成銘柄に選定されており、S&Pグローバルが評価した全企業のうち、22年のDJSI World Indexに採用されたのは3%未満だった。
日本では、日本たばこ産業株式会社(JT)が今月1日、「JTグループ環境計画2030」を更新し、温室効果ガス排出量や廃棄物削減に関する新たな目標を掲げた。国内では電力由来の温室効果ガス排出量削減に向け、太陽光パネル設置や非化石証書の購入を推進するなど、ネットゼロに向けて取り組みを加速させる。
タバコは健康を害するイメージが強いが、現在のタバコ製造大手はESG経営に積極的であり、業界のけん引役として存在感を発揮している。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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