英スーパーマーケット大手のテスコ(ティッカーシンボル:TSCO)は2月28日、プラスチック素材を含む赤ちゃん用おしりふき商品すべての販売を禁止すると発表した(*1)。テスコによると、同社は赤ちゃん用おしりふき市場で英国最大の小売企業になるという。
テスコは2年前よりプライベートブランドの赤ちゃん用おしりふきにプラスチックの利用をやめており、今回の決定を受け、すべての商品がプラスチックフリーになる。同社が毎年7,500万パック、48億枚を超える赤ちゃん用おしりふきを販売していることに鑑みると、プラスチックフリーの商品になることで環境に大きなポジティブインパクトをもたらすとみられる。唯一プラスチックを含むペット用おしりふきに関しては、22年末までにプラスチックフリーになる見通しだ。
テスコは20年にプラスチックフリーのプライベートブランドの販売を開始。それ以来、格段に速く分解される生分解性素材のビスコースの利用にシフトしている。クオリティ部門ディレクターを務めるサラ・ブラッドベリ氏は、プラスチックが分解されるまでにどれほどの時間を要するか理解しているため、おしりふきからプラスチックを取り除くことに懸命に取り組んできたと述べた(*1)。
プラスチックフリーのおしりふきは水に流せるタイプの商品だ。環境にやさしい商品を販売することは、プラスチックごみ問題に取り組むテスコの4Rパッケージ戦略の一環となる。同戦略は「可能な限りプラスチックを除去(Remove)」、「除去できなければ削減(Reduce)」、「より再利用(Reuse)」「残ったものはリサイクル(Recycle)」することを目指す。
19年8月に同戦略を開始して以来、15億個のプラスチックを含む6,000トンのパッケージ削減につなげたという。また、再利用可能なパッケージ製品の展開に向けて、循環型ショッピングプラットフォームのLoopと提携したほか(*2)、900店舗以上で軟質プラスチックの回収を行っている(英テスコ、軟質プラ回収してゴミ袋製造に活用。サーキュラーエコノミー推進)。
なお、3日まで開催されていた国連環境総会(UNEA)では海洋プラスチックごみの削減に向けて法的拘束力のある国際枠組みを策定することが決まった(*3)。気候変動の国際枠組みである「パリ協定」のように各国ごとに数値目標を設定し、その目標達成に向けて動き出すことになれば、中長期的に企業および消費者の行動に大きな影響を及ぼす可能性がある。
【参照記事】*1 テスコ「Tesco becomes first major UK retailer to ban plastic wet-wipes」
【参照記事】*2 Loop「Loop-2021 サービス提供開始」
【参照記事】*3 環境省「第5回国連環境総会再開セッション(UNEA5.2)の結果について」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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