英スーパーマーケット大手のテスコ(ティッカーシンボル:TSCO)は2月7日、米包装材製造のベリー・グローバル(BERY)とパートナー契約を締結し、テスコの店舗で顧客から回収した軟質プラスチックのリサイクルを開始したことを発表した(*1)。軟質プラスチックをゴミ袋の製造に活用することで、サーキュラーエコノミー(循環経済)を推進する。
テスコは軟質プラスチックを回収する拠点を急速に拡大しており、現在では900店舗以上で軟質プラスチックを回収している。これまでに850トン以上を回収し、パートナー企業と協働してさまざまなリサイクル・ソリューションを提供している。
今回ベリー・グローバルとの提携を通じ、パンやフルーツ、野菜などの包装を月間25~30トン回収し、英ダービーシャー州ヒーナーにあるベリー・グローバルの最新鋭リサイクル施設に配送するという。そこで不純物を除去して再原料化(再生ペレットの製造)したのち、ごみ袋の製造に活用する。
また、サプライチェーン上で軟質プラスチックを回収するにあたり、完全なトレーサビリティ(追跡可能性)を確保することで、サーキュラーエコノミーを確実に実践していく。そのほか、ごみ袋の強度を確保するために、再生ペレットに同じく再生タイプの農業用フィルムを配合するという。
テスコのサステナビリティ・パッケージ部門マネージャーを務めるウィリアム・ゲスト氏は、(プラスチック製品の原料に再生する)マテリアルリサイクル(#1)で新たな商品を製造する意向を示している。また、軟質プラスチックを回収する拠点を設けることで、英国のリサイクルインフラの不足を補うとともに、原料を無駄にしないよう求める顧客の要望を満たすことができると述べた(*1)。
世界銀行は世界の廃棄物が2050年までに現在の水準より70%増加すると予測している(*2)。そして近年、国連をはじめとする世界的な会合でたびたびとり上げられている問題が「海洋プラスチックごみ」だ。50年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという試算もある(*3)。世界銀行はサーキュラーエコノミーを構築するうえで、包括的な廃棄物削減とリサイクルプログラムを通じ、プラスチックごみおよび海洋ごみの削減支援を行うという。
このようななか、テスコが軟質プラスチックに関連したサーキュラーエコノミーを推進することで、ESG(環境・社会・ガバナンス)の意識が高い消費者(投資家)からの評価がより高まる可能性がある。今後もサステナブルなソリューション提供を強化することに期待したい。
(#1)マテリアルリサイクル…廃プラスチックをプラスチッ クのまま原料にして新しい製品をつくる技術。
【参照記事】*1 テスコ「Soft plastics collected at Tesco to become bin liners in new recycling solution」
【参照記事】*2 世界銀行「What a Waste 2.0 : A Global Snapshot of Solid Waste Management to 2050」
【参照記事】*3 世界経済フォーラム「WEF_Annual_Report_2015-2016」

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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