TheHillが仮想通貨を肯定「インターネットを禁止できないように仮想通貨を禁じるべきでない」

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米国で有数の政治ウェブサイトTheHillは2月8日、インターネットが発展した歴史と比較し「仮想通貨が禁止されれば、社会は長期に渡り痛手を被る。」という次のような興味深い論説を掲載した。

インターネットの台頭は共産主義とソビエトの崩壊と同時に起こった。インターネットが普及し世界中で民主主義が栄えたことは偶然ではなく、インターネットの可能性は国境を越え世界の地政学的構造を変えるのに役立った。

しかし、その後インターネットが拡大するにつれて多くの否定的な事例が発生し、規制当局や政府の間で消費者保護の懸念が浮上した。インターネットはその重要な役割を理解されることなく全面禁止を求める動きがあったが、国家とW3C(World Wide Web Consortium)との協力により1997年には電子商取引の世界的枠組みが創設され、インターネット成長の道が切り開かれた。人々はインターネットの禁止がイノベーションを妨げ、世界のつながりを弱めることに気づいたからだ。

これはビットコインがドラッグ、銃、シルクロードなどと関わりが深かった仮想通貨の初期を連想させる。先日開かれた公聴会では米国証券取引委員会(SEC)とコモディティ先物取引委員会(CFTC)が懸念を示しているし、欧州では、フランスとドイツがG20に対して仮想通貨のグローバルな規制枠組みを検討するよう求めた。アジアでは韓国は国際協調を主張しているが、中国はほぼすべての仮想通貨を禁止している。

TheHillsでは、こうした流れを受けて「グローバルな法整備の枠組みを構築し、全面禁止を避けるべきだ。」としている。また、グローバルな枠組みの整備にあたって仮想通貨がもつ多様なケースに対して画一的な対応や認識を避けること、消費者と企業は異なるリスクを抱えていることを認識することの2点が必要だと述べた。

いまだ法整備が十分でない仮想通貨のリスクに対して、既存市場と同様に強力な消費者保護のための措置が必要であることは明白だ。TheHillsは「消費者保護のために必要なポイントは3つで、①悪意のある行為に対する保護②アンチマネーロンダリング③自己資本規制・サイバーセキュリティ・システムリスクの管理だ。日本の仮想通貨取引所はこの点で評価ができる一例で、先日のハッカーによるNEM盗難事件では金融庁が即座に行動し、コインチェックは顧客への返済も決断している。」としている。

仮想通貨の利用はいまだに消費者による投資活動の一環にとどまっている。今は金融機関をはじめとする多くの企業が仮想通貨を法定通貨に代わる決済手段として導入を試みている状況だ。仮想通貨が正しく力を発揮することができれば、分散型ビジネスモデルのメリットでもある仲介者を介さないことによるコスト削減や決済の効率化、こうしたメリット実現による副次効果的に取引量の増加や新たなビジネスの誕生といった期待も見込まれる。

仮想通貨の技術は世界を大きく変える力を持っている。例えば、仮想通貨は銀行口座をもつことも難しい貧困層でも価値ある資産をもつことができるだろう。また、MoneyGramのように出稼ぎ労働者が自国の家族のために国際送金するスキームをさらに効率化することもできるだろう。

TheHillsでは「仮想通貨はファイナンシャルインクルージョン(富裕層・中間層・貧困層といったあらゆる階層の人々がひとつの仕組みの中で、一人ひとりに合った金融サービスが利用できること)のためのツールであり、このイノベーションを妨げることは何世代にも悪影響を与えるものだ」と述べ、仮想通貨に対して賢明な判断をするように訴え締めくくった。

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