ブロックチェーンで地方創生!地方自治体のブロックチェーン導入例のまとめ

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ブロックチェーンと聞くと「仮想通貨」や金融分野に活用されているイメージがあるかもしれませんが、実際には金融領域以外にも活用が期待されています。2021年からはNFTに注目が集まり、今では地方自治体でも地方創生の文脈でブロックチェーンが利用される事例が増えてきました。

ここでは、地方自治体でのブロックチェーン活用事例やなぜ地方自治体でブロックチェーンが活用されるのかといった理由について解説していきます。

目次

  1. 自治体がブロックチェーンを活用するメリット
  2. 地方自治体でのブロックチェーン活用事例
  3. まとめ

①自治体がブロックチェーンを活用するメリット

「ブロックチェーン」と聞いてすぐに何かわかる人は比較的少ないかもしれません。ブロックチェーン技術は分散型台帳技術とも呼ばれ、簡単にいうとネットワーク参加者による取引の記録を正確に保存できるという技術です。従来は一つの機関が中央集権的にユーザーのデータを管理していたため、データの改ざんや漏洩などといった不正を完全に防ぐことは困難ですが、分散的な管理を可能にするブロックチェーン技術を使えば安全性が担保することが可能です。

自治体がブロックチェーンを導入するメリットとしては、不正や改ざんがされにくい、契約業務の効率化、運用コストの削減などが挙げられます。こういったブロックチェーンの技術は食品のトレーサビリティの分野でも活用が進んでおり、地方自治体が運用するサービスにも活用が期待されています。

②地方自治体でのブロックチェーン活用事例

2-1.【福岡県飯塚市】ブロックチェーン技術を活用したサービスの運用「Tapyrus(タピルス)」

飯塚市では積極的にブロックチェーン技術を活用したサービスの運用を行っており、生活に密接するサービスにブロックチェーンが活用されています。

その一例となるのが、農作物のトレーサビリティの実証です。2022年1月には、飯塚市に拠点を置くchaintopeと九州農産物通商が一体となってブランドいちご「あまおう」の輸出におけるトレーサビリティの実証に成功しました。実証の内容は、Chaintopeが独自に開発した「Tapyrus」ブロックチェーンを活用して作られたスマホアプリを用いて、福岡県JA粕屋産のあまおうを台湾に輸出するまでの過程を追跡するというものです。

また飯塚市では住民票等各種証明書の「申請」「交付」を住民所有の端末から作成可能とする仕組みの実証実験を行っています。ブロックチェーン技術を活用し、不正改ざんを見つけやすくすることで電子文書の信頼性の保証を実現しています。窓口での手続きが必要ないことから、コロナ禍による非接触の行政サービスとしても期待されます。

2-2.【富山県】富山県に溢れる魅力を「価値」として国内外に流通させるプロジェクト「Yell TOYAMA」

Yell TOYAMAは、雄大な立山連峰を望む自然環境と富山湾の恵まれた海の幸、製薬や鋳物などの伝統産業、そして幸福度ランキング上位の常連である富山県に溢れる魅力を「価値」として国内外に流通させるプロジェクトです。『地域応援通貨YEL(エール)』を通じて富山を愛するファンと地域事業者のコミュニティを形成し、地域愛や愛着心を価値に変える『応援経済』を富山によって消費・投資の最大化を図ります。

日本の地方都市は人口減少と経済の衰退により苦境に立たされていますが、近年はこのような「住み続けられるまちづくり」に繋がる地域活性化の活動が盛んになってきており、にわかに新たなローカルビジネスの潮流が生まれてきています。

地域応援通貨YELはブロックチェーンによって全ての取引を記録・管理する安全性の高い暗号通貨であり、円と等価で利用できる地域通貨です。富山県に縁があるなどで富山を応援したいユーザーは、専用のウォレットアプリ上で法定通貨を用いてYellコインを購入します。購入したコインは県内の様々な加盟店やイベントでの決済などに利用することが可能です。また、地域事業者を応援するクラウドファンディング等にも将来的に活用できるよう準備が進んでいます。

2-3.【熊本県天草市】ブロックチェーンを活用したデジタル「プレミアム付商品券」

ブロックチェーンを活用したデジタル「プレミアム付商品券」を発行する情報プラットフォームが、新たに熊本県天草市へ提供されます。この情報プラットフォームはSBIホールディングス株式会社、九州電力株式会社及び株式会社筑邦銀行の3社による合弁会社「株式会社まちのわ」が提供しています。またこの情報プラットフォーム基盤には、米R3社開発のエンタープライズ向けブロックチェーン「Corda(コルダ)」が採用されています。

ブロックチェーンを活用して商品券を発行することで、利用者は申込からチャージ、決済までの一連の手続きなどをスマホのアプリ上で行うことが可能となります。天草市では情報プラットフォームを利用して、独自の電子商品券スマホアプリ「天草のさりー」を提供します。

同アプリでは、スタートキャンペーン参加者に1人当たり3,000円分の電子商品券が進呈される他、対象児童1人あたり5万円分支給される「子育て特別クーポン」の電子版が利用できるとのことです。これらクーポンの利用は市内の対象店舗となります。電子クーポンの利用は2022年3月上旬から開始するとのことで、紙クーポンでなく、電子クーポンを選択すると受給を3月、5月、7月の最大3回に分けることもできるそうです。

2-4.【石川県加賀市】電子上の市民「e-加賀市民」という新たな制度

加賀市は2018年に「ブロックチェーン都市宣言」を発表し、デジタル個人認証技術でマイナンバーカード等と紐づけた、電子上の市民「e-加賀市民」という新たな制度が始まります。この制度では、ブロックチェーン技術を活用した幅広い電子行政サービスを検討しています。

スマートフォンとマイナンバーを紐づけし、市民の持つ端末から投票できる電子投票システムや、住民票を持たないながらもマイナンバーとの紐づけで市内各種サービスを受けることができる電子市民制度の実証に至っています。

例えが次のようなサービスを受けられるよう検討が進んでいます。加賀市往来時の宿泊費等を支援、市民のみを対象としたセミオンデマンドタクシーの利用、移住体験プログラムの優先提供、市の施設であるコワーキングスペースや会議室の無償貸出などがあります。

2-5.【宮城県石巻市】手持ちスマホで利用可能・トレーサビリティサービス「Paradium」

株式会社フィッシャーマン・ジャパン・マーケティングは2020年夏、東京・池袋の宮城ふるさとプラザで販売した“朝獲れホヤ”の産地と鮮度を証明する仕組みに、ChaintopeのトレーサビリティサービスParadium(パラディウム)を採用しました。フィッシャーマン・ジャパンは、漁業のイメージをカッコよくて、稼げて、革新的な「新3K」に変え、次世代へと続く未来の水産業の形を提案していく若手漁師集団です。

Paradiumは、Chaintopeの独自パブリックブロックチェーン「Tapyrus(タピルス)」を用いたトレーサビリティサービスで、特別な機器を用いることなくスマートフォンやPCとプリンターがあれば、小規模な事業者の方や個人商店などでも簡単にトレーサビリティを導入することが可能です。ブロックチェーンを用いることでトレーサビリティ情報の改竄を防ぎ真正性が証明されると同時に、サプライチェーン全体の可視化とそこから新たな価値を生み出すことが可能となります。

Paradiumは手持ちのスマホで利用が可能なため、スピーディに、安価に導入することができ、販売者の負担を軽減し、消費者への安心も提供することが可能となります。またホヤは、貝毒が生じる場合があり、検査を受けて間違いなく問題ない産地で獲れた海産物であることを証明することは、安心・安全の点でもトレーサビリティの向上が期待される商材のひとつと考え、選定されているそうです。

③まとめ

今回は一部の活用事例をご紹介しました。ブロックチェーンの活用方法は行政のサービスから農林水産業にいたるまで多岐にわたります。ブロックチェーン技術の活用は地域が抱えている課題の改善に有効とされており、実際に導入されたサービスを地域住民や観光客が利用することで、地域創生に繋がっていくことも期待されています。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。