今回は、NFT Gardenについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- 「NFT Garden」とは
1-1. 「NFT Garden」の概要
1-2. 運営元である「Connectiv株式会社」とは - 「NFT Garden」の特徴
2-1. Web3.0サービスの開発やNFT発行が簡単にできる
2-2. マルチチェーンに対応している
2-3. 無料でNFTが生成できる
2-4. ユースケースが豊富である - NFT Gardenで利用できるWeb3.0機能
3-1. マルチチェーン対応API「NFT API
3-2. Web Minting Functions
3-3. Webhook Notification
3-4. Transaction Analyzer - NFT Gardenの近況と今後の展開
4-1. アップグレードの完了
4-2. Japan Open Chain上でNFTの生成が可能に - まとめ
2023年3月7日に、「NFT Garden」の開発・運営を担当するConnectiv株式会社と、イーサリアムと完全互換性を持つパブリックブロックチェーン「Japan Open Chain」を運営する日本ブロックチェーン基盤株式会社が、サービスの連携に向けて覚書を締結したと発表されました。
この記事では、Web3.0やブロックチェーン技術に詳しい知識や開発スキルがなくても、簡単にNFTを作成できる新しい形のプラットフォーム、「NFT Garden」について、その全貌と特徴を詳しく解説します。
1.「NFT Garden」とは
1-1.「NFT Garden」の概要
「NFT Garden」は、Connectiv株式会社が開発・運営している、日本初のWeb3.0企業向けマルチチェーンNFT生成プラットフォームです。その最大の特徴は、Web3.0に関する深い知識や特別な開発スキル、仮想通貨の保有などを必要とせず、APIやウェブ画面から手軽にNFTを生成できる点です。この特性により、既存のサービスがWeb3.0対応を図る際や、新たなNFTプロジェクトを始める際に、簡単かつ迅速に活動を開始できます。これは、Web3.0とNFTの世界へのアクセスを大幅に容易にする革新的なステップといえるでしょう。
「NFT Garden」は、「ポリゴン(Polygon)」や「ソラナ(Solana)」を含む12種類のブロックチェーンをサポートしています。そして、ここで生成されたNFTは、「オープンシー(OpenSea)」や「マジックエデン(Magic Eden)」などの4つの主要なNFTマーケットプレイスに最適化されています。
1-2.運営元であるConnectiv株式会社とは
Connectiv株式会社は、2017年9月1日に設立されたWeb3.0に特化した日本の企業です。彼らのビジョンは「Web2フレンドリーなプロダクトでWeb3が当たり前の社会を創る」であり、このビジョンを具現化するために「NFT Garden」などの誰でも簡単にNFTを発行できるサービスや、Web3.0プロダクトの開発、Web3.0の普及活動を行っています。
特に、NFT作成APIの独自開発を活用して、ゼロからの開発や既存サービスとの連携を行い、世界中のクリエイターや開発者が参加可能な分散型エコシステムを構築しています。また、NFTを活用した店舗や商品のPR、サービスやアプリの認知度向上、地方の活性化など、様々な目的に合わせたNFTの利用をサポートしています。そのため、ConnectivはWeb3.0の分野で活躍するスタートアップとして注目され、今後のさらなる成長が期待されています。
2.「NFT Garden」の主な特徴
2-1.専門知識がなくてもWeb3.0サービスの開発やNFT発行が可能
「NFT Garden」は、マルチチェーンNFTの生成に特化した機能を持つWeb3.0プラットフォームであり、専門的な知識やスキルがなくても、Web3.0エンジニアであれば誰でもWeb3.0サービスの開発やNFTの発行が可能です。
Web3.0というフレーズは近年ますます注目を集めており、その便利さから多くの企業や自治体が参入を表明しています。しかし、Web3.0は次世代型のインターネットであり、専門知識がないと理解が難しく、その参入障壁が高いとも言われてきました。
そのような状況の中、「NFT Garden」は、誰でも簡単にWeb3.0を利用できる環境を提供し、参入障壁を取り払います。その結果、企業や自治体が既存のサービスにWeb3.0機能を追加したり、新たなNFTプロジェクトを始めるのが容易になります。
2-2.マルチチェーンに対応
「NFT Garden」は、ポリゴン(Polygon)やソラナ(Solana)を始めとする12種類以上のブロックチェーンをサポートするマルチチェーン対応プラットフォームです。これにより、ユーザーは自身の要件に最も適したブロックチェーンを選択してNFTを生成することができます。
現在、NFT Gardenがサポートしているブロックチェーンには以下のものがあります:
- ポリゴン(Polygon)
- ソラナ(Solana)
- BNBチェーン(BNB Chain)
- アバランチ(Avalanche)
- アービトラムワン(Arbitrum One)
- アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)
- オプティミズム(Optimism)
- アスター(Astar)
- シデン(Shiden)
- ムーンビーム(Moonbeam)
- ムーンリバー(Moonriver)
- ファントム(Fantom)
- ハーモニー(Harmony)
- セロ(Celo)
- フューズ(Fuse)
- エブモス(Evmos)
- イーサリアム(Ethereum)
そして、今後は、ジャパン・オープン・チェーン(Japan Open Chain)のサポートを開始する予定です。
さらに、NFTマーケットプレイスとデジタルウォレットにも対応しており、ユーザーは以下のサービスを利用することができます:
NFTマーケットプレイス
- オープンシー(OpenSea)
- トウフ(TofuNFT)
- マジックエデン(Magic Eden)
- エレメント(Element)
デジタルウォレット
- メタマスク(MetaMask)
- トーラス(Torus)
- ファントム(Phantom)
2-3.無料でNFTが生成できる
現在、「NFT Garden」はベータ版としてサービスが提供されており、利用者は無料でNFTを生成することができます。これにはガス代(手数料)も含まれており、仮想通貨を保有していなくてもNFTの発行や既存サービスへのNFT生成機能の追加などが可能です。この特長は、NFTを利用した新規プロジェクトを手軽に始めることができる点でユーザーにとって大きな利点となります。
2-4.ユースケースが豊富
「NFT Garden」は多様なユースケースに対応しており、その幅広さが一部の人々から注目を浴びています。具体的には以下のような領域での利用が期待されています。
- ゲーム:ゲーム内アイテムをNFTにすることで、既存のゲームサービスをWeb3.0対応のゲームに進化させることが可能です。ユーザー同士でアイテムを売買することも可能になります。
- メタバース:メタバース内でアバターが使用するアイテムやスキンをNFT化することで、ユーザーコミュニティを形成し、UX(ユーザーエクスペリエンス)や没入感を向上させることが可能です。
- チケット:従来紙媒体で発行されていたチケットをNFT化し、公開市場での二次流通を可能にします。
- 会員証:会員証をNFT化することで、クローズドなイベントやコミュニティへの参加証とすることができ、さらに二次流通も可能になります。
- DApps(分散型アプリ):ユーザーの行動に応じてNFTの生成、転送、情報参照などをAPIにリクエストし、独自のDAppsを作成することが可能です。
- DAO(分散型自律組織):DAOへの参加権を含むNFTを発行し、そのNFTが参加証となり、コミュニティの一員となることが可能です。
- プロモーション:自社の商品、イベント、施設などのプロモーションにNFTを使用することが可能です。NFTを無料で配布することを前提にすると、仮想通貨の経理処理などを心配することなく簡単にプロモーションを実施することができます。
3.NFT Gardenで利用できるWeb3.0機能
3-1.マルチチェーン対応API「NFT API」
NFT Gardenでは、NFTの生成や状態確認、所有権の参照などを行うことができる「NFT API」を提供しています。このNFT APIはマルチチェーンに対応しているため、1つのコードでどのブロックチェーン上においても処理を実行することが可能となっています。
3-2.Web Minting Functions
NFT GardenのWebツールには、プロトタイプ開発や初期の検証段階で便利なNFT生成機能が備わっています。この機能はクリエイターやエンジニア以外のユーザーでも、コードを記述することなく、APIと同等の処理を実行することができます。
3-3.Webhook Notification
「Webhook Notification」は、NFTやコレクションの生成などに関する処理状態をリアルタイムで通知する機能を提供します。特に、SlackなどのWebhookに対応したアプリケーションへの通知設定が可能で、利便性が高いです。
3-4.Transaction Analyzer
「Transaction Analyzer」を用いると、NFTの生成結果やブロックチェーンに記録されたオンチェーン情報、トランザクションの参照などを行うことができます。また、これらの情報は分析にも使用することができます。なお、この「Transaction Analyzer」の提供は2023年4月現在まだ開始されておらず、今後のアップデートが待たれます。
4.NFT Gardenの近況と今後の展開
4-1.アップグレードの完了
NFT Gardenは定期的にアップグレードを行っており、最近では2022年10月にNFTの配布やジェネレーティブNFT、さらにNFT会員証などを扱うためのAPI機能のアップグレードが完了したことを発表しました。このアップグレードにより、次の4つの主要な機能が追加され、プラットフォームの利便性がさらに向上しました。
指定のウォレットアドレスに対するNFTの生成機能
以前は、NFT Gardenに登録されているユーザーが所有するウォレットアドレス宛にのみNFTを生成することができました。しかし、最近のアップグレードにより、APIを使って指定した任意のウォレットアドレスに対してNFTを生成することが可能になりました。これにより、NFT配布サイトの構築やジェネレーティブNFTコレクションの作成など、APIの対応範囲が大きく広がりました。
NFT Gardenで作成されたNFTの判定機能
以前のNFT GardenのAPIは、既に存在するNFTの情報を参照することが主な機能でした。しかし、最新のアップグレードにより、ウォレットアドレスに基づいてNFT Gardenで作成されたNFTかどうかを判定することが可能になりました。これにより、アプリケーション開発時にNFTを会員証として使用する会員認証システムなどを実装することが可能になりました。
NFTの転送機能
以前は、作成したNFTを転送するにはOpenSeaなどのNFTマーケットプレイスを利用する必要がありました。しかし、このアップグレードにより、NFT Gardenで作成したNFTを別のウォレットアドレスにシームレスに転送することが可能になりました。このNFTの転送機能は、ウェブ画面上やAPIからも利用可能です。
Webhookにコレクション作成と転送時の通知機能を追加
前回のアップグレードでは、NFT作成時のステータスのみがWebhook通知として実装されていました。しかし、この最新のアップグレードにより、「コレクション作成」および「NFT転送」の操作も通知できるようになりました。これにより、NFT Garden内のアクションをリアルタイムで把握することが可能になり、アプリケーションの設計次第では、外部サービスの履歴蓄積なども可能になりました。
4-2. Japan Open Chain上でNFTの生成が可能に
序論で述べたように、2023年3月7日にNFT Gardenと「Japan Open Chain」の間で接続に関する覚書が締結されました。この提携により、日本法に準拠したWeb3.0インフラであるJapan Open Chain上で、Web3.0開発スキルや専門知識、または仮想通貨なしでNFTを生成できる環境が提供されることになりました。これにより、日本の企業が安全かつ簡単にWeb3.0ビジネスに参入するためのサポートが提供されます。
また、将来的には、各事業間でシナジーを生み出す協力の可能性を探りつつ、双方のサービスの価値向上に向けた協議を進め、全員が安心してWeb3.0ビジネスを推進できる世界の実現に取り組む予定です。
5.まとめ
NFT Gardenは、マルチチェーン対応のNFT生成プラットフォームとして、専門知識が不要な、全員が安全かつ簡単にWeb3.0ビジネスに参入できる環境を提供することに力を注いでいます。NFT Gardenの便利性からは、様々なユースケースが想定されており、ユーザーは自分のニーズに応じて柔軟に利用することができます。Web3.0の考え方がますます普及する中で、NFT Gardenがどのように展開していくのか、引き続き注目が集まっています。
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日