ミダックHDの脱炭素戦略は?サステナブル投資の観点からプロトレーダーが解説

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ミダックHDは、静岡県に本社を置く総合廃棄物処理企業であり、脱炭素やサステナビリティの取り組みが注目されています。廃棄物処分、収集運搬、仲介管理という3つの事業を柱に、環境保護に貢献しています。特にカーボンニュートラルの実現に向けた技術開発に注力しており、今後の企業価値や株価にどのように影響を与えるかが注目されています。

本稿では、プロトレーダーの筆者が、長期的な視点での投資対象としての可能性も探ります。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2024年8月23日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. ミダックHDとは
    1-1.事業内容
    1-2.環境への取り組み
  2. ミダックHDの事業とSDGsの関連性
    2-1.総合廃棄物処理施設の運営
    2-2.リサイクルと再利用
    2-3.CO2回収・貯留技術(CCS)
    2-4.微細藻類の培養
  3. ミダックHDの強みとは
    3-1.参入障壁の高さ
    3-2.財務の健全性
    3-3.自己資本比率の改善
    3-4.株価の動き
  4. まとめ

1.ミダックHDとは

株式会社ミダックホールディングスは、1952年に創業し、静岡県浜松市に本社を置く総合廃棄物処理企業です。主な事業は産業廃棄物と一般廃棄物の収集運搬・処理であり、環境保全を重視した事業運営を行っています。

1-1.事業内容

ミダックHDの事業は、大きく以下の三つのセグメントに分かれます。

廃棄物処分事業

ミダックHDの中核であり、総売上の80%以上を占めています。自社保有の管理型最終処分場「奥山の杜クリーンセンター」などを活用し、多様な廃棄物の処理を行っています。

収集運搬事業

産業廃棄物および一般廃棄物の収集運搬を行う事業です。専用の収集運搬車両を多数保有し、固形廃棄物や液体廃棄物など、さまざまな廃棄物に対応しています。

仲介管理事業

自社で処理が困難な廃棄物や自社の商圏外の廃棄物について、他の廃棄物処理業者への紹介サービスを提供しています。

1-2.環境への取り組み

ミダックHDは、持続可能な開発目標(SDGs)に貢献するため、環境負荷の低減を重視した事業運営を行っています。特に、脱炭素化に向けた取り組みとして、焼却由来のCO2を利用した微細藻類の培養や、CCS(CO2回収・貯留技術)を進めており、これらの技術を通じてカーボンニュートラルを目指しています。

2.ミダックHDの事業とSDGsの関連性

ミダックHDは廃棄物処分事業を中心に業績を伸ばしていますが、この事業とカーボンニュートラルの両立を目指しています。

2-1.総合廃棄物処理施設の運営

ミダックHDは、多様な廃棄物の収集運搬、焼却、中間処理、最終処分を一貫して行う体制を構築しており、これにより廃棄物処理の効率化と環境負荷の低減を図っています。

他社では廃棄物処分の場合を一貫して行う体制は整えているところがほぼないことから、ミダックHDが業績を毎年伸ばしている背景でもあります。

2-2.リサイクルと再利用

廃棄物のリサイクル率を高める技術を導入し、資源の有効利用を推進しています。特に、砕石製造技術や混練技術を活用し、廃棄物から新たな製品を生み出しています。

2-3.CO2回収・貯留技術(CCS)

産業副産物(廃棄物)と最終処分場を活用した焼却由来CO2の回収・貯留技術を開発しています。これにより、2050年のカーボンニュートラルに向けた貢献を目指しています。一貫した体制とCCSの技術向上は、処理コストやエネルギーコストの減少、つまり利益率の増加に繋がることが期待されます。

2-4.微細藻類の培養

焼却由来のCO2を利用して微細藻類を培養し、高付加価値物質「フコキサンチン」を生産することで、経済性を確保しつつCO2削減を目指しています。

微細藻類の培養の開発は長期的に見ればコストカーボンニュートラルや脱炭素の動きに繋がってはいきますが、CCSの技術と比較すると、企業価値への反映はまだ先になるでしょう。理由としては微細藻類の技術がCO2削減にどのような計算式で削減されるのか明確な定義がまだ確立されてないためです。

この培養技術がCO2排出削減に繋がることが方法論で定義され、数値化できた場合、ミダックHDが保有する培養の量が株価にプラスの影響を与えるでしょう。

3.ミダックHDの強みとは

次に、ミダックHDの強みを考えていきます。

3-1.参入障壁の高さ

産業廃棄物関連事業は参入障壁が高く、ミダックHDにとっては強みとなります。廃棄物の収集から処分まで全てを一貫して行う体制を整えており、高い利益率を維持しています。

3-2.財務の健全性

2025年3月期1QのミダックHDは営業利益率が43.5%、2024年3期の設備投資比率は前年比+63.6%と高くなっています。これにより、継続的な成長が見込まれます。

3-3.自己資本比率の改善

2020年から2024年までの自己資本比率は以下の通りです。

年度 自己資本比率
2020年3月期 36.8%
2021年3月期 38.8%
2022年3月期 47.6%
2023年3月期 50.7%
2024年3月期 47.4%

3-4.株価の動き

ミダックHDの株価は1,500円近辺で推移していますが、増収増益を毎年達成しており、高収益モデル、良好な決算、参入障壁の高い業種などを鑑みると、今後の株価上昇が期待されます。
ミダック株価
※図はTradingView[PR]より筆者作成
ミダックHDの週足チャートを確認すると、2024年8月現在、1,500円台で安定しており、日本株全体の上昇に取り残されています。しかし、増収増益・規模の拡大・利益率の向上を毎年達成しているため、今後株価にも反映されることが期待できます。

脱炭素に取り組んでいる企業で、すでにミダックHDのように中核として脱炭素に視点を置いている企業は多くありません。一方で投資家サイドとしても、脱炭素がどのように企業価値に反映されるのかを見通せない状況です。サステナブル・脱炭素に関する技術開発の部分が株価に反映されていないため、伸び悩んでいると言えます。

脱炭素による企業決算のいい影響が見えてくると株価が大きく伸びる余地があるため、長期保有する銘柄として検討できるでしょう。

4.まとめ

ミダックHDは、高収益モデル、良好な決算、参入障壁の高い業種に支えられており、筆者としては長期的に保有する価値のある銘柄と考えます。脱炭素に真剣に取り組む企業として、今後の株価動向を注視しながら、ポートフォリオに組み込むことを検討してみてはいかがでしょうか。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12