一般社団法人日本ブロックチェーン協会(JBA)と一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は3月25日、ブロックチェーン技術と暗号資産(仮想通貨)の普及拡大と健全な業界育成を目的に初の共催イベント「SDGs × ブロックチェーン・暗号資産が切り拓く21世紀!?一緒に考えよう、持続可能な未来へ~」の開催を発表した。
イベントは、4月22日19:00~21:00にZoomによるオンライン開催となる。誰でも無料で参加が可能だ。
両協会は暗号資産・ブロックチェーン技術や関連ビジネスの健全な発展を目指すという共通の目的を実現するために連携・協働する協定を2020年9月に締結し、連携体制を構築している。
今回の共催イベントは、2030年を達成目標とするSDGsにブロックチェーン技術・暗号資産がどのように寄与していくかについて考える、日本におけるSDGs×ブロックチェーン・暗号資産への取組みの推進を目的に開催される。
HEDGE GUIDE 編集部では、同イベントに先駆けて、両協会のSDGsへの取り組みおよびイベント協賛の目的について直接オンラインにてお話を伺った。今回は、JCBA会長でビットバンク株式会社 代表取締役 廣末 紀之氏、JCBA専務理事 幸 政司氏、JCBA理事で株式会社ビットポイントジャパン 代表取締役 小田 玄紀氏を始め、協会スタッフのみなさまに参加いただいた。
JCBAが取り組むSDGs
最初に小田 玄紀氏に、JCBAがどういった形でSDGsと関わっているのか、その背景を語っていただく。
小田氏は、小田氏が経営する暗号資産取引所BITPointの親会社である株式会社リミックスポイントの代表取締役社長も務める業界第一人者。始めに、2020年の10月にJCBAが共有した資料「暗号資産交換業者に求められるSDGsへの関わり方」をもとに、JCBAの取り組むSDGsについて解説する。
現状、Bitcoinを始めとする暗号資産は投資、投機的な部分ばかりが注目されがちだが、実際の暗号資産の価値はそれだけではない。JCBAでは、暗号資産の価格が上がることではなく、社会的な価値そのものが上がることを目指しており、多くの方々にそれを伝えていきたいと小田氏はいう。多くの人たちというのは、暗号資産に詳しくない一般的な人もそうだが、金融庁や政府、政治家の方々の中にも「暗号資産は投資でしょ」という先入観を持っている方も少なくないので、そういった方も含めて、しっかりと暗号資産の様々なユースケースを構築しながら、正しい価値を伝えていこうと考えているという。
そうした中で、今、世界的に注目されているSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に対して暗号資産やブロックチェーン技術を活用することで何らかの貢献ができないかということで、2020年頃から様々な取り組みを検討(勉強)し始めたそうだ。
SDGsは、2015年に国連サミットで採択された持続可能な世界を実現するための17のゴールに関連付けて実施される、2030年までの国際的な開発目標。17のゴールにブロックチェーン技術が貢献できる可能性があるかを検討した結果、JCBAではすべての分野で貢献できる結論に至ったという。
また、小田氏を世界の若き指導者Young Global Leadersのひとりに選出する世界経済フォーラムでも、同フォーラムが提唱する第四次産業革命においてブロックチェーンの必要性を掲げていることを小田氏は触れた。特に第四次産業革命日本センターがフォーカスするデータガバナンス、ヘルスケア、スマートシティ、モビリティの分野においてもブロックチェーンがはたす役割は極めて大きいという。
では、なぜ暗号資産交換業者にSDGsへの意識や取り組みが必要なのか?
2016年から2018年頃の日本は、Bitcoin取引量が世界のトップだった。その頃は、Bitcoinや暗号資産が日本を世界のリーダーにする可能性があり、暗号資産交換業者はそれだけで最先端技術として評価されていた時代だ。
しかし、その後は暗号資産の価格の暴落や暗号資産取引所経由で不正流出事件が多発したことなどから暗号資産に対する否定的な報道が増え、結果、現在の日本の暗号資産取引量は世界全体の3~5%程度までに下がった現実がある。
もっとも、最初は暗号資産の価格変動に一喜一憂していたこともありBitcoinを買うことが目的で、投資・投機的な買われ方だったのも事実だ。
こうした背景から、暗号資産・ブロックチェーンは社会性が高いことの再認識を社会から受けないと、暗号資産の立場も暗号資産交換業者に対する印象も変わらず、相変わらず投資・投機の印象は払拭できない。このままでは、協会からの税制改正の要望や各種提言も受け入れてもらえない実態は続くとJCBAは考えるという。
ブロックチェーン技術は、なぜSDGsに求められるのか。最大の特徴は、情報の非改ざん性であると小田氏はいう。デジタル情報は、簡単にコピーできてしまうことがデジタルとしての価値の一面もあるが、ブロックチェーンは逆にデジタルでありながら、コピーや改ざんができない点が重要であり、信頼性が高く、SDGsでは特にトレーサビリティの分野でその技術が求められている。本当に正しいかの確認コストが不要なブロックチェーンに対する期待値は大きい。また、システム開発、保守に関する面においてもコスト競争性が高いという。
実際のSDGsにおけるブロックチェーンの事例として、小田氏は国連開発計画(UNDP)のブロックチェーンを活用してSDGsを推進する「Beyond Bitcoin」という活動を紹介した。Beyond Bitcoinでは、金融包摂、エネルギー・アクセスの環境向上、生産と消費責任、環境保護、法的アイデンティティの提供・維持、寄付の効果向上の六つの分野で活用されている事例を公開している。
金融分野における事例
SDGsにおける金融分野の事例は、いわゆる銀行口座を持っていない人を対象にしたサービスとなる。現在、世界には銀行口座を持っていない、あるいは銀行サービスにアクセスできない人が17億人以上いるといわれている。かつ、こういう人々は、海外に出稼ぎに出ていることも多く、貧困国では40%の世帯が出稼ぎ家族からの送金に依存し生活している。口座を持っている場合でも、送金には時間がかかり、また非常に高い送金手数料を支払っているのが現状だ。
世界では銀行口座を持つ者は少ないが、現状ではスマートフォンは誰でも持っているアイテムの一つだ。そこで、そうした国々では、ブロックチェーンを活用した低コストの送金ネットワークとモバイルアプリが展開されている。スマホとアプリさえあれば、誰でも簡単に素早く国際送金が可能となる環境がすでに提供されているという。
エネルギー分野での事例
世界は、10億人以上の人が十分な電力にアクセスできていない環境にある。これらは、太陽光発電などの再生可能エネルギーやスマートメーターなどのIoT機器にブロックチェーンを活用することで電気の販売ネットワークを構築することができ、解決できるという。
実例として、UNDPでは電力自給率の低い東ヨーロッパのモルドバにて、ソーラーパネルを設置して電力の地産地消及び余剰電力の販売ネットワークを構築し、地域活性化を実現している。また、電力トークン化マーケットプレイスを提供するthe Sun Exchangeと提携し、パネル所有者が電力を外部の企業・学校・家庭などに提供した際に対価としてSolar Coinsを受け取れる仕組みを構築するなど、エネルギー問題と地域活性化問題を解決した事例があるという。
生産と流通分野における事例
サプライチェーンの過程にブロックチェーンを導入することでトレーサビリティの向上が期待されているが、特にフェアトレードに関する現場やグローバルに生産・仕入・流通が期待できる領域ではブロックチェーンの活用が積極的に進んでいるという。
UNDPのAltFinLabではアムステルダムを拠点とするFair Chain Foundationと共同でエクアドルのカカオ農家のためのチョコレートのフェアトレード基盤を、ブロックチェーンを用いて構築している。農園のカカオから生産されたチョコレート菓子のパッケージにQRコードが記載されており、消費者はこのQRコードから生産者や流通情報を確認し、かつ、トークンにより農家に対して直接支払も可能な環境がすでに構築されているという。
この分野は、チョコレートのほか、コーヒー、ダイヤモンド、繊維など様々な分野でのブロックチェーンによるトレーサビリティの導入が期待される。また、流通のみならず、生産の分野においても、子供が強制労働させられていないかといった監視にも応用が利くなど、フェアトレードの環境を維持することに役立っているという。
環境保護分野での事例
環境保護のケースでは、世界遺産にも指定されているレバノンのレバノン杉の植林に対して、誰かが寄付で貢献した際に、貢献した証明に報酬としてCedar Coinというトークンが配布されるという事例がある。環境投資をしたことを証明するトークンなどによりCSR(企業の社会的責任)活動の蓄積がブロックチェーンに記録されるようになっているという。Cedar Coinは、CSRの観点で購入履歴により自然保護への貢献を可視化・証明してくれるため、CSRが成り立つ。よってブロックチェーンにより、環境のための活動をしたことが証明される仕組みを構築することができるという。
人権分野における事例
世界に7000万人以上いるとされる難民の中には法的アイデンティティ(ID)を持っていない人も多くいるといわれている。こうした難民問題は、医療や配給、教育、金融サービスなどを受けることができない人々を産んでいる。これらを、ブロックチェーンを活用して解決する取組みもあるという。
WEP(国連世界食糧計画)はブロックチェーン技術を活用し、ヨルダンのシリア難民向けに生体情報(眼球の虹彩)ベースのデジタルIDシステムを構築した。難民は虹彩認証を通じて物やサービスを享受することが可能となったという。それによって、既存のアナログの方法による本人確認に比べて金融サービスに関連する管理コストを98%カットし、よりスムーズに医療・食品・教育などの提供に成功したという。
こうした仕組みは、昨年の日本の持続化給付金の支給の仕組みにも使えるのではないかという意見を、小田氏は付け加えた。
寄付の透明性について
寄付の分野におけるブロックチェーンの活用は、寄付の透明性の確保に役立つといわれている。
寄付をしても実際に支援者から支援先に対して寄付金が届けられたかどうか、寄付を募る中間者の搾取(経費等も含む)がどれだけされたのか不透明なことも多かったが、ブロックチェーンを活用することで透明性の担保と送金における仲介者の排除が実現できる。この分野では、寄附の透明性を担保するためにもトークンを活用した寄附およびブロックチェーン技術の活用が強く求められているという。
この分野では、すでにUNICEF暗号通貨ファンドなど暗号資産で寄附をしたものが寄付先にも暗号資産で支援されるケースも増えてきている。同ファンドではメキシコの医療プロジェクトやアルゼンチンの資金調達プラットフォーム、チュニジアのソーシャル・ガバナンスツールなど複数のプロジェクトに投資を行っている。
UNICEF暗号通貨ファンドには、Ethereum Foundationが最初の寄付者として加わったことも有名である。その他、海外の暗号資産交換業者が賛同する事例も見られる分野となった。
トレーサビリティ分野での事例
こちらは別の事例であるが、トレーサビリティ分野においてはVeChainが中国動物衛生食品安全アライアンス(CAFA)にブロックチェーン技術にて参画したという事例がある。
CAFAは130以上のメンバーからなり、生産・流通・小売まで食品業界関係者が加入する団体となる。今後、生産過程から流通過程にまで適正に管理されているかをブロックチェーンにより証明していくという。その仕組みは、栽培、加工、包装、流通から小売までがトレーサビリティの対象となる。また、統一規格にすることで、参画するすべての食品企業が完全なトレーサビリティを低コストで導入可能となるという。
新しい金融分野における事例
新たな金融の分野においては、資産の担保化と資金調達の運用及び管理をするソフトウェアツールセットTinlakeを、小田氏は紹介した。
Tinlakeは、Tinlake上で請求書などの金融ドキュメントをNFT化し、NFTに紐付いたトークンを作成(CVT)する。CVTを担保としてMakerやCompoundなどのDeFiプロトコルでステーブルコインを借りることができる仕組みだ。ブロックチェーン上で請求管理をすることで金融市場としての信用が生まれ、DeFiとステーブルコインを活用することで金融機関を介さない新しいファイナンスを実現するという。
新しい家族の形
最後はFamiee(ファミー)という、自治体によらず利用できる民間発行のパートナーシップ証明書の事例が紹介された。法律上では夫婦・親子と認められない世界中の夫婦・親子が、家族としての当たり前の権利やサービスを受けられないという課題を解決するためにブロックチェーン技術を活用して家族関係証明書を発行する、新しい家族の形を証明する仕組みという。
Famieeの家族関係の証明書により、家族関係が社会的に認められるという。一般的な家族は当たり前に受けられるサービス (携帯電話の家族割り、生命保険の受取人、手術の同意書サインなど)を受けられるようにすることが目的という。現在、日本においても30社以上の企業がFamieeのサービスに加入表明している注目の技術だ。
その他のブロックチェーン事例
SDGsの文脈にかかわらず、その他にも社会に貢献できるブロックチェーン技術の応用は多数登場している。
LVMHが発表するイーサリアムの技術を活用したブロックチェーンプラットフォーム「AURA」は、製品に付けられたQRコードから、サプライチェーンをトレースでき、二次流通時にも記録が残るため製品の真贋を証明することができる。これらは、「ルイ・ヴィトン」「ディオール」の導入が決定しており、他のブランドへも展開予定という。
また、スターバックスはMicrosoft Azureブロックチェーンサービスを活用し、コーヒー豆のトレーサビリティを実現している。顧客がコーヒーを買うという行動が、どの地域の農家の支援につながっているかを追跡できるシステムを構築している。
こうした暗号資産やブロックチェーン技術の活用は未来の話ではなく、既に起きている現在の話で、SDGsを含めた社会貢献の話は増加しているという。こうした社会貢献によって暗号資産の価値はより上がっていくと考えているので、今後もJCBAとしても情報を発信していきたいとと小田氏は語った。
日本の企業の現状はどうか?
これまでの話は、日本の企業の関わりが少ないと感じたが、ここでHEDGE GUIDE 編集部から、SDGsの17のゴールに対して、今後、日本の企業はどう対応していけばいいのか尋ねてみたが、そういう意味では、Famieeが日本の企業であると小田氏は返答する。これは、一つの日本の事例といっていいのではないかという。
傾向として感じるのは、日本の会社と海外の会社の一番の違いは、海外の会社はまだやっていないことをやっていると宣言することも多いと思う反面、日本はしっかり全部やってから「これをやります」と報告する事例も結構あるように感じるという。なので、海外の事例ではこれからやることも含まれているケースもあるのではないかと小田氏は回答する。
JCBAの会長でビットバンクの代表の廣末氏は、コインチェック事件以降、この業界は締め付けもかなり厳しかったこともあり、民間が萎縮していた時期もあったのではないかという。本当は、いいアイデアもたくさんあるように思うが、これを今いいだしたら怒られるのではないかという雰囲気もあったように思う。このあたりは、すでに金融庁の姿勢や業界の意見も変わりつつあるので、徐々に新しいアイデアも出てくると思うと付け加えた。
まさにその通りだと小田氏も同調する。昔、地方活性化という文脈では、地域通貨というアイデアがいくつもあったという。それも、税金の問題や法的な立て付けの観点からも、表だってできなかったこともあり、それで止まってしまったプロジェクトも多くあるという。そういった部分でも、我々JCBAとして今後は支援していかなければならい点であると小田氏はまとめた。
協会としては、文脈が異なるが、不透明な部分がまだたくさんあると感じていると廣末氏は語る。我々の立場からの要望としては、やはり税制改正があって、これを行うには、社会からの信任が必要になる。なので、当然だがSDGsに沿ったような具体的に社会貢献できるような形は暗号資産交換業者としても見せていかなければならないのだが、民間にはこれをいじると危ないのではないかというような雰囲気が継続してあるので、協会が主体で実際に具体的な事例を作っていこうという活動をしている段階でもあるという。
JCBA専務理事の幸 政司氏は、こういった事例に取り組みたいという話は、協会にもよく届くと補足する。しかし、今の話に加えて会計原則についても定まっていないことも多々あり、企業が暗号資産に取り組んだときに、会計をどうしたらいいかということも固まっていないという。協会としてもPwCあらた有限責任監査法人(特別会員)を含めて会計事務所にお手伝いをいただいて会計原則については意見をまとめているが、そういったルール整備の遅れも影響しているだろうという。
この点は、確かに大きいと廣末氏は賛同する。特にBilibit(BLB)やhuobiトークンのようなすでに発行されている自社発行トークンは、会計基準が決まっていないという。これを上場企業がやってしまうと監査で問題があるため、上場企業ではできない。そういう理由からみんなが手を出せず、地域コインのようなものも発行できないというジレンマがあるという。
日本では、これらをひとつひとつクリアにして、条件がそろわないとできないことが多い。なので、協会のみんなで声を挙げてやっていこうということになっているという。もちろん、金融庁も新しいものを潰したいということではなく、消費者保護のためにやっていたことが、全体で整合性を取ってみたら、つじつまが合わない部分が出てきたということなので、やはりひとつひとつ崩していかないといけないのだと廣末氏は力説する。
それぞれがクリアになれば、日本は技術力があるし、テーマもあるので、日本からも新しいものは出てくるだろうと、廣末氏はまとめた。
小田氏が活動するレジリエンスジャパン推進協議会
レジリエンスジャパン推進協議会は、内閣官房直轄の社団法人。国土強靱化対策という観点から国のあり方、政策を考えようと、2013年に国土強靱化基本法が成立したタイミングで設立した協議会という。小田氏は、そこでもブロックチェーンに関する活動を行っているという。
実は、レジリエンスジャパン推進協議会側から国土強靱化対策の観点からもブロックチェーン技術が必要ではないかという働きかけがあったという。それに対して小田氏は、国土強靱化および地方創生や活性化に使えるのではないかという提案を進めているという。まだ何も決まってはいないが、そのうちのひとつが地方創生に関する地域通貨ないしはIEOのようなことが考えられるのではないかと提案している。こういった観点からも話を進めていかないと政治は変わっていかないのではないかと思っているという。
こういった活動を経て、実際にやってみたところで、税務をどうしよう、会計処理をどうしようといった課題に政府と共に向かうことで、初めて当局も全体像を把握することができるのではないかという。
最後に
HEDGE GUIDE 編集部からの質問として、最後にHEDGE GUIDEの読者に多い投資家向けにコメントをいただいた。特に、暗号資産をよく知らない初心者の投資家向けに伝えたいことを率直に伺った。
まずは、暗号資産の価格が上昇しているとか、時価総額がいくらになったとかではなく、その暗号資産がどういったプロジェクトかということを知ってもらうことが重要ではないかと思うと小田氏は回答した。
Bitcoin、Ethereum、Rippleといったあたりの暗号資産は有名だが知っていると思うが、今、日本でも様々な暗号資産が取り扱われるようになり日本で購入できる暗号資産の種類も増えている。たとえばゲームに使われるトークンや、高速送金に向いているトークンなど、それぞれのトークンの価値というものが細分化されてきているので、そういったことを知ってもらうことが重要であると思っていると小田氏は述べている。
やはりまだ暗号資産は初期段階なので、新しい技術と社会の現実とのフィッティングには時間がかかるものだと思うと廣末氏は補足する。受け手の体制や法律の整備等にも時間はかかるので、まさにこれからではないだろうかと廣末氏はいう。
暗号資産は値段だけではなく機能性もあるので、その機能性も徐々に社会にフィッティングするフェイズに入ると思うので、これからは新しい体験が気づけば裏は暗号資産やブロックチェーンの機能だったという時代になる可能性は秘めていると廣末氏はいう。
あとは、我々はつい難しいことをいってしまうことも気をつけなければいけないと小田氏はいう。ついNFTであるとかDeFiがどうのこうのということをいってしまいがちだが、それもよくないと思っているという。Bitcoinは600万円持っていないと買えないの? と思っている人も少なくなく、そういう人たちにBitcoinは数百円から買えることを教えてあげると、それだけで喜ばれるので、最近思うのはもっとBitcoinやブロックチェーンについて、わかりやすく一から説明していくことに努めることの重要性を感じるという。
それについては、JCBAの幸氏が補足する。現在、会員向けと一部一般向けに勉強会のような定例会を毎月開催しているが、少なくとも夏頃までには広く初心者向けに暗号資産についてのわかりやすい勉強会を開催する予定であると、今後の予定についても報告いただき、オンラインによる会合は終了した。
こうした背景から、JCBAとJBAの共催イベントは4月22日に開催予定となる。
イベントでは、イーサリアム財団 エグゼクティブ・ディレクター宮口 あや氏の基調講演「イーサリアムが解決する世界課題」を皮切りに、今回のお話をより詳細にSDGsの取り組みについてと、教育におけるブロックチェーンの利用、ブロックチェーンによるSCM高度化を通じたSDGs実現、「SDGs × ブロックチェーン・暗号資産が切り拓く21世紀」をテーマとしたパネルディスカッションが行われる。
【参照記事】JBA×JCBA 初の共催イベント 「SDGs × ブロックチェーン 暗号資産が切り拓く21世紀!」のご案内