今回は、GMOコインIEO第三弾ビットファクトリーの「QYSコイン」について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- GMOコインとは
1-1.GMOコインの概要
1-1..GMOコインのIEO - ビットファクトリーのQYSコイン
2-1.QYSコインの概要
2-2.「駅メモ! Our Rails」への導入 - まとめ
22年10月18日、国内の大手暗号資産(仮想通貨)取引所GMOコインの運営を手がけるGMOコイン株式会社が、株式会社ビットファクトリーとIEO(Initial Exchange Offering)の実施に関する覚書を締結したことを明らかにしました。
ビットファクトリーは東証プライム市場上場の株式会社モバイルファクトリーの100%出資子会社となっており、今回の発表ではビットファクトリーが発行している「QYSコイン」のIEOを計画していることが報告されました。
そこで今回は、GMOコインIEO第三弾となるビットファクトリーのQYSコインについて、その概要や特徴などを詳しく解説していきます。
①GMOコインとは
1-1.GMOコインの概要
GMOコインとは、GMOクリック証券をはじめとするさまざまな金融サービスを提供するGMOインターネットのグループ会社であるGMOコイン株式会社が運営する仮想通貨取引所です。GMOコインは二年連続でオリコン顧客満足度第一位を取得するなど、ユーザーにとって利便性の高いサービスで多くの投資家から高い評価を獲得しています。
グループ企業で培った金融サービスのノウハウを活かし、セキュリティ性の高い取引環境を整備しているほか、口座開設や即時入金、日本円の出金や仮想通貨の預入および送付にかかる各種手数料がすべて無料となっている点などが挙げられます。
また、取り扱い銘柄数も国内最多レベルとなっております。
取引所(現物)の取扱銘柄 | 24種類:ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ベーシックアテンショントークン、ステラルーメン、モナコイン、ネム、クアンタム、チェーンリンク、ポルカドット、エンジンコイン、シンボル、テゾス、コスモス、エイダ/カルダノ、メイカー、DAI、FCRコイン、アスター、ソラナ、ドージ、NOT A HOTEL COIN |
販売所の取扱銘柄 | 21種類:ビットコイン、イーサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュ、ベーシックアテンショントークン、ステラルーメン、クアンタム、チェーンリンク、ポルカドット、テゾス、コスモス、エイダ/カルダノ、メイカー、DAI、ソラナ、ドージ、チリーズ、ザ・サンドボックス、ファイルコイン、アバランチ |
このように、GMOコインは取引の初心者から上級者まで、あらゆるユーザー層のニーズに対応した充実のサービスで、国内の仮想通貨業界において不動の人気を誇っています。
1-2.GMOコインのIEO
IEOとは「Initial Exchange Offering」を略したもので、仮想通貨の発行元が仮想通貨取引所を通して「トークン」の先行販売を実施し、投資家から資金調達を行う仕組みのことを指します。
セール後にはトークンが仮想通貨取引所で上場するため、証券会社が幹事となって株式を公開するIPOと似た仕組みになっています。
IEOは、以下のようなプロセスで実施されます。
- プロジェクトがトークンを発行
- 仮想通貨取引所がトークンを引き受け、指定価格で投資家に販売
- 仮想通貨取引所でトークンが上場、一般取引が開始される
取引所がプロジェクトの運営体制を審査するため、「ICO(Initial Coin Offering)」と比べても投資リスクが低いとされています。そのため、投資家は比較的安心して参加することができるだけでなく、プロジェクトとしてもコミュニティを形成・強化しやすいのが特徴です。
GMOコインでは、これまでにもIEO第一弾として、J2リーグである「FC琉球」が発行している「FCRコイン(FCR)」のIEOを実施した実績があります。FCRコイン(FCR)のIEOは22年4月27日~22年5月18日にかけて開催され、FCRコインの総発行量10億FCRのうち4.5億FCRが販売され、10億3950万円(販売手数料と消費税込み)の売上を計上しました。
また、22年7月25日にはIEO第二弾として、株式会社Lightと覚書を締結。次世代型ライブ配信プラットフォームを構築するプロジェクトのIEO実施計画を公表しました。両社は23年夏ごろを目処として、ライブ配信アプリ「Palmu(パルム)」のネイティブトークンである「PLM」のIEOを実施する予定だということです。
そして、この度発表されたのが、第三弾となるビットファクトリーの「QYSコイン」のIEOとなっています。ビットファクトリーのIEOに関しては現時点で計画段階となっており、決定事項ではないため、実施予定日などの詳細な日程についてはまだ明らかにされていません。
②ビットファクトリーのQYSコイン
2-1.QYSコインの概要
「QYSコイン」とは、モバイルファクトリーの100%出資子会社であるビットファクトリーによって発行されるトークンのことを指します。
ビットファクトリーは18年7月25日に設立された国内のモバイルゲームおよびブロックチェーン関連企業で、塩川仁章氏が代表取締役を務めています。ビットファクトリーは主に、「Uniqys Project」と呼ばれる分散型アプリケーション「DApps」の普及を目指すプロジェクトを展開しており、ユーザーとデベロッパーの両側面からDAppsの普及を推進しています。
QYSコインの目的は、次世代のエンターテインメント市場を形成することです。誰にとっても扱いやすいサービスを通して、「課金して終わり」または「消費して終わり」という状態になるのではなく、一人ひとりにとっての「有形無形を問わない財産」として積み上げていくことができるエコシステムを構築する方針です。
QYSコインはIEO実施のほかに、23年内での海外取引所への上場も目指しているということです。また、QYSコインをリリースすることによって自社コインのエコシステム拡大も進める方針です。具体的には、次の項で取り上げる「駅メモ!Our Rails」のユーザー規模のさらなる拡大のほか、NFTプラットフォーム「ユニマ」の自社および他社のNFT企画の強化、同プラットフォームの「SaaS(Software as a Service)事業」における営業強化という三つの柱を打ち立てています。
2-2「駅メモ! Our Rails」への導入
QYSコインは、20年にリリースされた位置情報連動型ゲームである「駅メモ! Our Rails」に導入されることが予定されています。
駅メモ! Our Railsは端末の位置登録機能を利用して、日本全国に実在する9,000ヶ所以上の鉄道駅を集めてまわる駅収集位置ゲームとなっており、ブロックチェーン技術を駆使したWeb3.0の機能が実装されています。具体的には、トークン化された駅を購入することでユーザー自身が駅のオーナーになれる「ステーションオーナー機能」など、ユーザーが主体となってゲームをプレイし、報酬を獲得することができるシステムが構築されています。
モバイルファクトリーは、23年のIEO実施後にQYSコインの実装をスタートしていくとしており、今後はQYSコインを利用することによって、新たなエンターテインメントを創造していくと語っています。また将来的には、Web3.0の要素を実装することによって得た知見や機能を他企業やゲームに提供し、より多くのプレイヤーが新たなエンターテインメントを享受できることを目指すということです。
③まとめ
ビットファクトリーは自社のトークンを軸としたエコシステムの拡大を目指して、QYSコインのリリースおよびIEOの実施を発表しました。
今回のIEOはGMOコインにとって第三弾となります。現段階で詳細な実施日程などは公開されていませんが、QYSコインはすでに駅メモ! Our Railsに導入されることが予定されるなど、着実に進行しています。関心のある方は、この機会にGMOコインで口座を開設し、QYSコインのIEOに参加する準備をしてみてはいかがでしょうか。
中島 翔
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