今回は、Axie InfinityのDEXと仮想通貨「RON」について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- Axie Infinityとは?
1-1. Axie Infinityの概要
1-2. Axie Infinityのゲーム内容
1-3. Axie InfinityにおけるPlay to earnの仕組み - Axie Infinityの独自DEX「Katana」
2-1. Katanaとは?
2-2. Katanaローンチの目的 - 独自トークン「RON」
3-1. RONのユーティリティ
3-2. RONのユーザー - まとめ
最近、「Play to Earn(プレイトゥアーン)」という言葉を耳にする機会も多いと思います。Play to Earn(以後「P2E」)とは「遊んで稼ぐ」という概念で、NFTゲームをプレイしてお金を稼ぐことを意味します。P2Eゲームの先駆者であり、現在、圧倒的なユーザー数とNFTの取引高を誇るNFTゲームが「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」です。Axieは2021年11月にDEX(分散型取引所)を立ち上げ、ユーザビリティを高めています。そこで今回は、Axie InfinityのDEXとその独自トークンである「RON」について解説します。
①Axie Infinityとは?
まず始めに、Axie Infinityについて解説します。
1-1.Axie Infinityの概要
「アクシー・インフィニティ(Axie Infinity)」は、イーサリアムブロックチェーンでホストされる形で制作されたブロックチェーンゲームの名称です。2018年にベトナムのベンチャー企業Sky Mavisが開発を開始しました。
フィリピンやインドネシアなどを中心に世界にユーザーが存在し、2021年10月にはDAU(デイリーアクティブユーザー)が200万人を超えた実績があります。同7月のDAUが35万であったため3か月で165万もの急激な増加を見せています。
このゲームの人気の理由の一つとして、フィリピン、インドネシア、ベネズエラなどの発展途上国のユーザーにとっては、同国の1日当たりの平均賃金30ドルよりも、アクシー・インフィニティをプレイして得られる50ドルの方が上回っているという要因もあります。
1-2.Axie Infinityのゲーム内容
Axie Infinityは、「Axie(アクシー)」と呼ばれるモンスターを集めて他のユーザーと対戦したり、キャラクター自体を育成したりするゲームです。対戦方法はトレーディングカードゲームに近く、Axieにはスキルカードという能力を定義する機能があり、1つのAxieはそれぞれ4種類のスキルカードを装備しています。
プレイヤーは、それぞれ3体のAxieを使用して対戦をし、敵のAxieを全滅させることで勝利を獲得します。なお、ゲーム内で使用されるAxieは、一つ一つがNFTトークンとなっており、育成したAxieをマーケットプレイスで売却することも可能です。
1-3.Axie InfinityにおけるPlay to earnの仕組み
①仮想通貨「SLP」を獲得する
「SLP(Smooth Love Potion)」は、Axie Infinity内で使用されている仮想通貨で、Axie Infinity内での戦い(対人戦)に勝利したり、提供されているクエストをクリアしたりといったアクションに伴って、SLPが配布される仕組みです。
②仮想通貨「AXS」を獲得する
「AXS(Axie Infinity Shards)」もSLPと同様、Axie Infinityをプレイすることで入手できる仮想通貨ですが、SLPとは入手方法が異なり、AXSの場合はアリーナ(対人戦)に勝利して上位ランクになると配布される仕組みとなっているため、SLPと比べて入手難易度が高くなっています。
③スカラーシップで不労所得を得る
2021年11月時点にマーケットプレイスで購入できるアクシーの最低価格帯は$40前後。そのためゲーム開始時の予算としては$40×3体=約120ドル分のイーサリアム(ETH)が必要。
Axie Infinityをプレイするためには「アクシー」を3体購入する必要があります。ですが、東南アジアの若者にとっては高額なAxieの購入はハードルが高くなっています。そこで登場したのが、このスカラーシップというAxieのレンタル制度です。
これはAxieを保有するユーザーがAxie Infinityを始めたいユーザーにAxieを提供する代わりにその収益を共有するというもので、Axieの購入資金と一定の管理を行うことで、不労所得を得ることができる仕組みです。
④AxieやアイテムなどのNFTをマーケットで販売する
Axie Infinityでは、ブリードで作成したAxieやゲームをプレイする中で入手したアイテムなどを、公式サイト内および外部のNFTマーケットにおいて販売することが可能です。
②Axie Infinityの独自DEX「Katana」
次に、Axie Infinityの独自DEX「Katana」について解説します。
2-1.Katanaとは?
Katanaとは、Axie Infinityのエコシステムをよりユーザビリティの高いものにするために作られた分散型取引所(DEX)です。Katanaは、Axie Infinity独自のイーサリアムサイドチェーンである「Roninチェーン」上に構築されています。
Katanaを利用することで、Axie Infinityのユーザは外部の取引所を使用することなく、現在Axie Infinityのエコシステム内で使用されている2つのトークン(AXSとSLP)を米ドルにベックされたステーブルコインであるUSDCやWappedイーサリアムに交換することが可能です。
また、通貨のスワップ(交換)以外にもステーキングや流動性マイニングなどにも利用可能です。
2-2.Katanaローンチの目的
Axie Infinityは、Katanaローンチの目的として、下記3点を挙げています。
- Axieのような製品を簡単に、かつコストを少なく使えるようにすること
- エコシステム内のトークンを扱える最も大きな取引所を作ることにより、他の取引所への依存度を減らすこと
- エコシステム内のトークンの流動性を高め、ゲーム内で獲得したトークンを取引しやすくすること
③独自トークン「RON」
次に、Roninチェーンの独自トークンである「RON」について解説します。
3-1.RONのユーティリティ
RONとは、Roninブロックチェーンのエコシステムで使われるガバナンストークンのことです。RONは今後、Roninチェーンに構築される新しいゲームやプロダクトの安全性を保障するために使用されます。
RoninはPoS(プルーフオブステーク)のコンセンサスメカニズムに基づいており、バリデーターは一定数のRONをステークする必要があります。Roninのバリデーターは、ブロックの検証作業の報酬として新たに発行されたRONを得ます。
現在、Roninのユーザーは1日あたり100回まで手数料なしで取引を行うことができますが、今後はRONを手数料として使用するような仕組みに移行する計画です。
3-2.RONのユーザー
RONトークンは、Axie Infinityからのトークンセールは実施されません。発行量10億RONのうち45%がコミュニティとエコシステムファンドに割り当てられており、流動性提供、コンテンツ作成、報酬プログラム、助成金、ハッカソンなどの機会を通じて分配されます。
既に、発行量の10%はKatanaローンチ後90日間に「SLP/ETH」または「AXS/ETH」プールに流動性を提供した報酬として配布されました。残りの30%はAxieを開発するSky Mavisチームに、25%はバリデーターへのステーキングリワードに割り当てられています。
- Ronin ウォレット:300万ダウンロード
- TVL(トータルバリューロック値):6億米ドル
- NFT取引量:40億米ドル
- アクティブアドレス数:25万件
- NFT購入者:160万件
Roninのユーザーベースは、ブロックチェーンゲームとNFT取引に慣れているので、外部開発者にとって魅力的です。現状ではAxie Infinityのエコシステムのためだけに存在していますが、今後はRoninを使用する新たなゲームを誘致するインセンティブプログラムも計画されています。そうなれば、RoninチェーンやKatanaで発生する取引量はさらに拡大することになると考えられます。
④まとめ
Play to Earn(遊んで稼ぐ)のNFTゲームはさらに盛り上がりを見せています。中でもその代表格と言われるAxie Infinityのエコシステムは、今後さらにユーザーが増加すると考えられます。DEX「Katana」はまだローンチされて間もないですが、ゲームユーザーの増加とともに流動性や取引量が増えてくると、その独自トークンであるRONの需要も上昇すると予想されます。Axie InfinityやKatanaを利用するためには、まずは国内仮想通貨取引所の口座を開設し、イーサリアムを手に入れるところから始めてみてはいかがでしょうか?
中島 翔
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