今回は、アビスパ福岡が取り組んでいるスポーツDAOについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- アビスパ福岡とは
1-1.アビスパ福岡の概要
1-2.アビスパ福岡とブロックチェーン - アビスパ福岡が取り組んでいるスポーツDAOとは
2-1.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOの概要
2-2.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAO発足の目的
2-3.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOの活動内容
2-4.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOでできること
3-1.アビスパトークンの概要
3-2.これまでに実施されたトークン販売- アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOへの参加方法
4-1.一定数を超えるのアビスパトークンの保有
4-2.DAO発足に伴うアビスパトークンの販売 - まとめ
22年12月23日、次世代のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」の運営を手がけている株式会社フィナンシェが、アビスパ福岡による日本初となるスポーツDAO「アビスパ福岡スポーツイノベーションDAO」の発足について発表しました。
このスポーツDAOでは「福岡から世界に広がるイノベーションモデルを共創する」というビジョンを掲げ、Web3.0に関連するさまざまな新しい取り組みを進めていくと説明されています。
そこで今回は、アビスパ福岡が取り組んでいるスポーツDAOについて、その概要や特徴などを詳しく解説していきます。
①アビスパ福岡とは
1-1.アビスパ福岡の概要
アビスパ福岡は、福岡県福岡市をホームタウンとする、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に加盟するプロサッカークラブです。
クラブ名の「アビスパ(AVISPA)」は、ラテン語のAVISから派生したとされるスペイン語となっており、「鳥」や「飛び立つもの」といった意味です。「アビスパ」をチーム名とすることで、スポーツ文化が地域に根ざすと同時に、世界に向けて躍進していくようにという思いを表現しています。アビスパはまた、「蜂」を意味する言葉でもあり、蜂の行動特性と言われている「集団行動性」や「俊敏性」などから、チームカラーとして「軽快」、「統制力」、「多様なグループ攻撃」といったスタイルをモットーとしています。
このほか、運営会社はアビスパ福岡株式会社となっており、運営会社の出資企業や団体の多くが福岡市に主要拠点を構えている、もしくは福岡が発祥の企業であることでも知られています。また、取締役やオフィシャルスポンサーに関しても、その多くが福岡市に拠点を置く企業やその幹部となっています。
1-2.アビスパ福岡とブロックチェーン
アビスパ福岡ではこれまでにも、ブロックチェーン・テクノロジーに関連するプロジェクトを展開してきた実績があります。具体的には、21年8月1日より「株式会社フィナンシェ」と協業し、自身のクラブトークンである「アビスパトークン」の発行および販売をスタートしました。
株式会社フィナンシェとは、ブロックチェーン・テクノロジーを駆使したトークン発行型のクラウドファンディングプラットフォーム「FiNANCiE」を手がけるブロックチェーン関連企業で、クラブトークンを用いたまったく新しいサポートのカタチを提供しています。
アビスパ福岡では、サポーターおよび地元・福岡との絆をさらに強め、盛り上げていくことを目的とした「サポーターとつくるワンデーマッチプロジェクト」を始動しており、その一環として、アビスパトークンの発行およびファンディングを実施しました。
そもそもクラブトークンとは、ヨーロッパを中心として大きな注目を集めている、ブロックチェーン・テクノロジーを用いたオンライン上におけるファンサービスおよびクラブのサポートツールで、「バルセロナFC」や「ユベントス」などをはじめとする、世界的にも著名なサッカープロチームの間ですでに幅広く展開されています。
クラブトークンはチームに対するサポートの「しるし」または「証」といった意味を持つほか、保有することによってクラブが開催する投票企画への参加や、トークンホルダーだけの限定特典への応募が可能になるなど、さまざまなユースケースを持ったデジタル上のアセットとなっています。
実際にアビスパ福岡では、アビスパトークンを保有することでクラブ運営をサポートすることができるほか、限定イベントや限定グッズの応募が可能になるといったメリットがあると説明しています。またこのほかにも、クラブトークンはポイントのように数量を持つものであるため、トークン保有者であるサポーターの取引によって価格が変動する仕組みとなっています。このことから、今後サポーターが増加しアビスパトークンの需要が向上した場合、二次流通におけるトークン価値が上昇する可能性も大いにあるため、サポーターにとっても初期からサポートしている証となったり、継続的に応援するモチベーションにもつながるということです。
このように、アビスパ福岡では21年8月から積極的にクラブトークンの活用を進めており、さまざまなイベントを展開するなど、ブロックチェーン・テクノロジーを駆使した新たなサポートのカタチを提供しています。
②アビスパ福岡が取り組んでいるスポーツDAOとは
2-1.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOの概要
冒頭でも触れた通り、FiNANCiEの運営を手がけているフィナンシェは22年12月23日、アビスパ福岡による日本初となるスポーツDAO「アビスパ福岡スポーツイノベーションDAO」の発足について発表しました。アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOでは、「福岡から世界に広がるイノベーションモデルを共創する」というビジョンを掲げ、Web3.0に関連するさまざまな新しい取り組みを進めていくと説明されており、業界からは早くも期待の声が上がっています。
そもそも「DAO」とは「Decentralized Autonomous Organization」の頭文字を取った言葉で、日本語では「分散型自律組織」と訳されます。株式会社などをはじめとする従来の組織では一般的に特定の管理者や所有者が存在し、彼らが組織を仕切るという構造が採られてきましたが、DAOはこの従来のカタチとは大きく異なる、全く新しい組織形態として注目されています。
簡単に言うと、DAOは特定の管理者や所有者が存在しなくとも事業またはプロジェクトを推進することが可能な組織となっており、特にWeb3.0分野において大きな盛り上がりを見せています。DAOには特定のリーダー的存在がいないため、その運営方針はコミュニティメンバーによる投票によって決定されます。
また、多くのDAOでは、メンバーそれぞれの投票はブロックチェーン上に記録される仕組みとなっているため、不正の実行が極めて難しいほか、投票状況についてもリアルタイムに反映されるようになっているため、組織運営に関する透明性が非常に高いことでも知られています。
このように、DAOは次世代の組織形態としてますます広がりを見せており、今回発表されたアビスパ福岡のスポーツDAOにおいても、前述したビジョンに賛同したコミュニティメンバーみんなで意思決定を行い、実際に行動することによってプロジェクトを推進していくということです。
2-2.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAO発足の目的
アビスパ福岡は今回のスポーツDAO発足の目的に関して、21年8月に発行がスタートされたアビスパトークンを挙げています。
具体的には、現在実施している「アビスパトークンコミュニティ」についてさらに多くの方の参加を促すため、スポーツDAOを通して実施するプロジェクトの範囲拡大を行うほか、トークンホルダーの方々に対してもこれまで以上にアビスパ福岡の運営およびクラブが実施する企画についての意思決定に参加してもらいたいということです。
また、日本初の事例となるスポーツDAOに挑戦することによって、スポーツ組織の新しいあり方を検討していく一助になるとともに、アビスパ福岡が強豪クラブとなるための新たなビジネスモデルの確立を目指していくと語っています。
2-3.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOの活動内容
スポーツDAOの具体的な活動内容としては、「アビスパ福岡 マーケット開発部」が主管となり、これまで以上にバラエティに富んだプロジェクトを実施していくということです。
また、トークンホルダーの方々には、アビスパ福岡が企画したプロジェクトをさらに良いものとしていくためのアイデアや意見を出し、投票による意思決定に参加してもらう予定だと発表されています。
このほかにも、トークンや「NFT(非代替性トークン)」といったWeb3.0関連の知識について学ぶ機会の提供も行っていくとしており、Web3.0分野に触れたことがない初心者でも安心して参加できるような環境を構築していくということです。
2-4.アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOでできること
今回の発表によると、アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOでできることとして、下記の5点が挙げられています。
①スポーツ×Web3.0のイノベーションモデルを創出していく過程を体験できる
②プロジェクトに貢献するとトークンがもらえる
③プロジェクトが盛り上がったり、参加する仲間が増えるとトークンの価値が上がる可能性がある
④Web3.0やスポーツ×Web3.0の勉強ができる
⑤DAOメンバー間でのネットワーキングができる
このように、アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOは参加することによってさまざまなメリットを享受することができる、画期的な取り組みとなっています。
③アビスパトークンとは
3-1.アビスパトークンの概要
ここでは、今回のアビスパ福岡スポーツイノベーションDAOの要となる「アビスパトークン」について、詳しく解説していきます。
アビスパトークンとは、「みんなで創るアビスパと地域の未来」というコンセプトのもと、21年8月に「FiNANCiE」において発行がスタートされたトークンのことを指します。
前述の通り、FiNANCiEはブロックチェーン・テクノロジーを駆使した、NFT事業やクラウドファンディング2.0サービスを提供するプラットフォームとなっており、アビスパトークンもこのFiNANCiE上で展開されています。
アビスパ福岡マーケット開発部で副部長を務める平田剛久氏はトークンを導入した経緯について、資金調達や新しい体験価値を創造するといった面でトークンに大きな可能性を感じたと説明しているほか、トークン保有者との密接なコミュニケーションが取れるという部分でも魅力を感じたということです。実際に、社員だけでは思いつかないようなアイデアが上がってくることもあるということで、トークンの導入によってクラブにもたらされるメリットはかなり大きいと語っています。
また、トークン保有者はチーム運営との双方向のコミュニケーションが可能になるため、共創を通して相互理解がより深まり、これまでとは違った新たな関係性を発展させることができるということです。
なお、今後は活動コンセプトとして掲げている「みんなで作るアビスパと地域の未来」を軸として、トークン保有者の方々とともにさらに新しい取り組みに挑戦していきたいということです。
3-2.これまでに実施されたトークン販売
アビスパトークンは21年8月、FiNANCiEにおいて初回のトークン販売を実施しており、およそ900万円を超えるファンディングを達成したことで大きな話題となりました。また、この初回販売でクラブトークンの保有者となった方には、特典として投票企画への参加や参加型イベントへの招待のほか、特典抽選への応募などの権利が付与されました。
具体的には、21年9月25日のサガン鳥栖戦で開催された「Navy Flamesスペシャルマッチ」に関わるタイトル名や記念Tシャツのデザインなどを、トークンの保有者とともに投票企画で決定するなど、全く新しい取り組みが行われたということです。さらに、22年2月には第2回となるクラブトークンの発行および販売が実施され、大きな注目を集めました。
このトークン販売は第2回スペシャルマッチ実施に向けたものとして発表され、22年5月7日に開催された第12節アビスパ福岡VS湘南ベルマーレの試合を対象として、そのタイトル名や記念グッズのデザイン案などがトークン保有者とともに決定されたということです。
このほかにも、アビスパ福岡ではアビスパトークンの保有者に向けたさまざまなイベントを実施しており、そのエコシステムのさらなる拡大に尽力しています。
④アビスパ福岡スポーツイノベーションDAOへの参加方法
4-1.一定数を超えるのアビスパトークンの保有
アビスパ福岡では、DAOへ参加するための条件として、アビスパトークンを2,000トークン以上ホールドする必要があると説明しています。
また、アビスパサポーターの方のみならず、福岡出身の方や福岡を盛り上げたいという方、さらにはスポーツビジネスに興味のある方、Web3.0分野に興味のある方、起業家、スポンサー、企業など、アビスパトークンを保有していれば誰でも参加することができるということです。
なお、現時点ですでに2,000トークンを超えるアビスパトークンをホールドしている場合は、そのまま参加することが可能となっています。
4-2.DAO発足に伴うアビスパトークンの販売
前述した通り、今回のスポーツDAO発足に伴って、アビスパトークンの販売が実施されることが明らかになっています。
このトークン販売においては、アビスパ福岡サッカーDAOのメンバーの証とも言えるようなTシャツやパーカーがゲットできる特典付きのメニューのほか、Web3.0ビジネスに興味のある企業に向けたメニューなども用意されているということで、通常よりもさらに豊富な特典が享受できる見込みとなっています。
なお、販売期間については23年1月10日(火)13:00から23年1月31日(火)22:00までと発表されており、その他販売の詳細については、1月10日にリリースされる予定の販売ページで案内されるということです。
また、今回のトークン販売で集まった売上に関しては、アビスパ福岡サッカーDAOのビジョンにもなっている「Web3×スポーツの力で、福岡から世界に広がるイノベーションモデルを共創する」ことを実現するための資金として、またアビスパ福岡のクラブ運営やチームの強化資金などに利用されるということです。
⑤まとめ
現在、次世代の資金調達方法としてサッカー界においても高い注目を集めているトークンですが、中でもアビスパ福岡は、国内のサッカークラブでも特にトークンの活用に積極的なことで知られています。
そんなアビスパ福岡では、今回新たにスポーツイノベーションDAOを発足することによってアビスパトークンコミュニティのさらなる拡大を目指すとしており、トークンを軸としたさまざまな取り組みを行っていくと発表しています。
また、DAOの発足に伴ってアビスパトークンの販売も実施される予定であるため、興味のある方はこの機会にアビスパトークンをゲットし、スポーツDAOに参加してみてはいかがでしょうか。
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- ユニクロ運営会社に見るサステナビリティ経営|ファーストリテイリングの環境・社会貢献策を解説 - 2024年11月29日
- 急成長するDePIN、ソーラーファーム×ブロックチェーン 「Glow」が描く持続可能なエネルギーの未来 - 2024年11月27日
- ユニリーバのサステナビリティ戦略 – ブロックチェーンで実現する環境保護とトレーサビリティ - 2024年11月27日
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日