スケーラビリティ問題を巡る3つの派閥

ビットコインは、ブロックサイズが1MBで10分間に1回のブロック生成と決められていることから、取引処理の速度に遅延が生じるスケーラビリティ問題が慢性的に発生しています。この問題を解決するために、ブロックサイズを拡張するか、ブロックサイズを拡張せずにスケーラビリティ問題を解決する機能を開発をするかが求められていました。

ビットコインは管理者が存在しない非中央集権性コミュニティであるため、意見の違いからさまざまな派閥が生まれ、最終的には通貨自体が分岐する(ハードフォーク)という出来事を巻き起こすこととなります。以下では、ビットコインの課題解決を巡って生まれた3つの派閥についてご紹介していきます。

ビットコインのブロックサイズを巡る歴史

ビットコインの実装がされた2009年はブロックサイズに制限がありませんでした。必要もないブロックサイズを用意することは、ハッシュパワーが余計に必要となり、電気代、サーバーへの負荷や通信量を増加させる問題を発生させるためです。また、ブロックサイズの拡張によってDDoS攻撃に対する脆弱性が増すことも懸念されたことから、ブロックサイズは1MBに設定されたと言われています。

ビットコインの利用者が増えて利用が広がる過程で、ビットコインはあらためてスケーラビリティ問題と向き合うことになります。トランザクションの停滞が始まり、トランザクション処理の優先順位を上げるRBF(Replace by fee)でも支払主が望むスピードでトランザクションを完了できなくなる中、ビットコインの開発者(ビットコインコア)とコミュニティの間で議論が続いていました。

ビットコインにおける3つの派閥

スケーラビリティ問題に対しては、大きく2つの考えがあり、ブロックサイズを維持したまま別の解決策を模索する「スモールブロック派」とブロックサイズの拡大を目指す「ビッグブロック派」が存在しました。ビットコインコアを中心に構成されたスモールブロック派、ビットコインアンリミテッドをはじめとするマイナーで構成されたビッグブロック派以外にも、両者の妥協案としてブロックサイズを拡大しながらブロックサイズの効率化も目指す「Segwit2x派」が誕生し、最終的にビットコインは3つの派閥が争うこととなります。

開発者で構成されるスモールブロック派(Segwit推進)

Segwitは電子署名をトランザクションから分離させて、witnessと呼ばれる領域に保管することで、トランザクションのデータ量の軽減化させる技術です。従来のビットコインの仕様ではトランザクションごとに電子署名が含まれており、トランザクションにおける電子署名のデータサイズがブロックサイズを圧迫していました。電子署名を分離することでブロックサイズを確保するSegwitは、Segwit非対応のソフトウェアにおいては電子署名部分が除外されたブロックサイズが適用され、Segwit対応のソフトウェアではブロックサイズに関して新しいルールが適用されるという仕組みになっています。データ処理の軽減も見込まれるSegwitですが、一時的にトランザクション容量が改善したとしても、長期目線では結局ブロックサイズの見直しが必要である可能性があり、そうした点がビッグブロック派との確執の原点でもあります。

マイナーを中心に構成されるビッグブロック派(Segwit否定)

ブロックサイズの拡張は、ビットコインアンリミテッドを支持していた者によって主張された考えです。ブロックサイズに余裕がないのであればブロックサイズを拡大すれば良いという考えは一見シンプルに思えますが、ブロックサイズの拡大にともなう問題も少なくありません。ブロックサイズが拡大されたことによって必要となるハッシュパワーの確保をするために、設備投資ができる一部のマイナーがマイニングを寡占化していく恐れやサトシ・ナカモトが恐れたDDoS攻撃などのセキュリティリスクです。そうした指摘がある一方で、多くの人が決済通貨として利用することを見据えて膨大なトランザクションを処理するために、ビッグブロック派はブロックサイズを1MBから8MB(2017年8月当時)に拡張したビットコインキャッシュを誕生させることとなりました。

ブロックサイズの拡大とSegwit適用を目指すSegwit2x派

Segwit2xは、2017年5月にニューヨークで開かれた「Consensus2017」で決定した「ニューヨーク合意」で誕生した、ビッグブロック派とスモールブロック派の折衷案です。2017年8月にビットコインキャッシュがハードフォークが終わってスケーラビリティ問題に一旦の集結が訪れた後の2017年11月、ビットコインのブロックチェーンをSegwit2xのブロックチェーンに統一させる目的でハードフォークが計画され、注目を集めました。最終的にSegwit2xは延期が発表されましたが、ハードフォークの際に実装されるリプレイプロテクションが実施されない(フォークして誕生する新しいビットコインとオリジナルのビットコインを別々のものとして考えない)Segwit2xのハードフォーク計画は、開発者や取引所をはじめとするさまざまな関係者の間で意見が分かれる事態を引き起こしました。

【参照記事】Citation needed: Satoshi’s reason for blocksize limit implementation.
【参照記事】[Bitcoin-segwit2x] Segwit2x Final Steps

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