膨大な電力消費による環境への悪影響

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ビットコインでは、トランザクションが承認されるまでの仕組みとしてPoW(Proof of Work:プルーフオブワーク)が採用されています。ビットコインが提唱する「中央管理者の介在のないP2Pネットワークにおける決済通貨」においては、不特定多数の参加者がいるなかで取引の正当性を証明し続ける必要がありました。そこで考えられたのが、経済的インセンティブを付与することによる合意形成の仕組みであるPoWでした。

PoWを支えるマイニングの計算量は1秒あたり約2500京回

PoWは、マイナーと呼ばれる取引承認者によって、膨大な量の計算による取引の承認作業(マイニング)が必要です。取引はブロックチェーン技術によって取引情報が維持・管理されており、ブロックチェーンは取引情報が複数包括されたブロックが連なることによって成り立っています。このブロックは約10分ごとに生成されるように調整されており、ブロックの正当性を計算するマイニングによって、マイナーはビットコインで報酬を受け取ることができます。誰かが取引を改ざんしようとしたり、正当な取引を取り消したりしようとすれば、おびただしい量の計算が必要となり、攻撃を仕掛けるコストがメリットをはるかに上回るため、攻撃するインセンティブが働かないと言われています。

このマイニングには高度な知識が必要なわけではありませんが、正解にたどり着くまでに大量の計算を行うことになり、そのためには大量のエネルギーを投下しなければなりません。米マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)が開設したメディアMIT Technology Reviewによると、ビットコインのハッシュレート(マイニングに必要な計算量)は世界中で1秒あたり約2500京回にも及んでいるとされています。

電力消費が環境に及ぼす悪影響とその対策

PoWを行うコンピューターを稼働させるための電力は環境にも影響をあたえており、仮想通貨とエネルギーに関するクリアリングハウスDigiconomistによると、世界中で行われるマイニングによってアフガニスタンやクロアチアといった国々の年間排出量を上回る年間約2,900万トンのCO2が排出されていると報告されています。ビットコインのハッシュレートは今後も増え続ける見込みで、これは電力消費・CO2排出量ともに増加していくことを意味しています。

最近では、PoWほどの電力を消費しない承認プロセスとしてPoS(Proof of Stake:プルーフオブステーク)といった新たなコンセンサスアルゴリズムも登場しています。PoSは、仮想通貨の保有量と保有期間をかけ合わせて計算されるコインエイジが大きくなるほどマイニングの難易度が低くなるように設計されており、PoWよりもエネルギー消費量は少なく短時間でマイニングが終わることが特徴のエコなコンセンサスアルゴリズムとされています。

PoSは環境に優しい承認プロセスとして注目されている一方で、通貨の保有量を優先する一部の人間に富が集中するという側面も存在しています。PoSはビットコインの問題を解決できる一方で新たな問題を生むことにもなり、コンセンサスアルゴリズムについては今も開発者やコミュニティの間でも議論が絶えないトピックです。

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