国内におけるインパクト投資の推進組織「GSG 国内諮問委員会」は、インパクト投資の現状と課題をまとめた年次調査報告書「日本におけるインパクト投資の現状と課題 2020年度調査」を4月6日、同委員会と事務局の一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)のホームページで公開する。同報告書は2016年から毎年発行しており、今回はこれまで継続して行ってきた機関投資家・金融機関向けのアンケート調査結果から算出されるインパクト投資残高を5126億円と算定。19年度調査では投資残高は少なくとも3179億円あることが確認されたが、20年度はそこから大きく増加した。
今回は新たな試みとして、金融機関や評価機関などの一般公開情報を基に、インパクト投資の要件である社会的インパクト評価について事前評価と事後評価が設計されていることが確認できた金融商品の組成金額の総和を「インパクト投資市場の最大推計値(ポテンシャル)」として算出している。
投資残高は増加傾向だが、同委員会によると、日本のインパクト投資市場の成熟度合いは「これから成長していく段階」との認識が顕著で、グローバル市場の「順調に成長している」段階に比べて一段階遅れている。また、インパクト投資に取り組む動機としては「顧客の要望につながる」「責任ある投資家としてのコミットメントの一環である」といった回答が多かった。インパクト投資を増やすうえでの課題として、インパクト投資の重要要素である「社会的インパクト評価・マネジメントのアプローチが断片的で体系化されていないこと」が多く挙げられた。
同委員会は13年に当時の主要先進国首脳会議(G8)の議長国であった英国のキャメロン首相の呼びかけにより、インパクト投資を世界的に推進することを目的として創設されたネットワーク組織。2015年にGSG(旧称G8社会的インパクト投資タスクフォース)と名称変更し、現在は世界33ヶ国およびEUが参画している。日本国内の各界有識者、実務者、研究者で構成され、調査研究・普及啓発・ネットワーキング活動を通じて、日本におけるインパクト投資市場やエコシステムの拡大を目的に活動している。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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