仏金融大手のBNPパリバは2月24日、米格安航空会社ジェットブルーに対してサステナビリティ・リンク・ローンを提供すると発表した。既存のシニア担保付きRCF(Revolving Credit Facility)を切り替える形で実施していく。これによりジェットブルーは、航空業界で初めてESGパフォーマンスとローン金利を連動させる「サステナビリティ・リンク・RCF」を採用した企業となる。
既存のRCF5.5億米ドルの切り替えにあたり、ジェットブルーは自社の戦略構想に環境、社会、ガバナンスパフォーマンスのESG目標を加えた「サステナビリティ」条項を示している。ジェットブルーのESG達成度を調査するのはESG調査やサービスを提供するVigeo Eiris社で、彼らが採点したESGスコアに連動してマージンやコミットメントフィーが増減する価格決定メカニズムが採用された。
ジェットブルーは今年、全国内線をカーボンオフセットの対象としてジェット機CO2排出量を170億ポンド(約770万トン)以上削減すると発表したほか、一部路線のサステナブルジェット燃料への切り替えや低燃費エンジンを搭載した機体の発注を予定するなど、CO2削減に向けて積極的な活動を行っている。
ジェットブルーのサステナビリティ責任者の Sophia Mendelsohn氏は「この種の取引を締結した初の航空会社として、私たちは環境や社会問題の取り組みを収益と結びつけて考えている。私たちは成し遂げたことに満足をしているが、C02排出を抑制し株主のニーズに応えるためにはもっとやることがあることも理解している。」と語る。
ジェットブルーは2018年から金融パートナーのサステナビリティ戦略やコミットメントの審査を始め、ESG政策を強化している金融パートナーにビジネスをシフトしていった。そんななか、昨年、BNPパリバはジェットブルーに対して持続可能な現金管理への移行を支援するためESGや財務省のガイドラインを満たすオーダーメイドソリューションを作成するなど、関係を構築してきていた。
BNPパリバのグローバルバンキング・アメリカ共同責任者で、米国におけるサステナブル金融戦略を指揮するFlorence Pourchet氏は「ジェットブルーとのパートナーシップ継続は、当社がサステナビリティの道をいく中において、この上ない喜びである。サステナブルファイナンスのリーダーとして、BNPパリバは今後も企業顧客と協力し、企業ごとにESG目標達成への具体的な施策がカスタマイズされたソリューションを提案していくことに努めていく」と語った。
【参考記事】BNP Paribas and JetBlue Partner to Close First Sustainability-Linked RCF for the Airline Industry

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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