エンタープライズ向けパブリックブロックチェーンを提供するVeChainは8月25日、中国における二酸化炭素削減に向け新たなカーボンフットプリントSaaSサービスを発表している。
この新プラットフォームは、あらゆる規模の企業がカーボンフットプリントのデータをパブリックブロックチェーンに記録することができるため、サプライチェーンを構成する多くの参加者から信頼性の高い炭素排出量データを収集することが可能となる。UNFCC(気候変動枠組条約)のアソシエイト・プログラム・オフィサーであるアレクサンドル・ジェラート・パリは、次のように述べている。
「ブロックチェーンはステークホルダーの関与、透明性、エンゲージメントの向上に貢献し、気候変動との戦いに信頼とさらなる革新的なソリューションをもたらし、気候変動対策の強化につながるものです。」
これまで報告されている二酸化炭素排出量のデータは、信憑性と透明性の欠如という課題を抱えていた。ブロックチェーンベースのSaaSを導入することにより、従来課題であったデータの真正性が保証され、サプライチェーンにおける気候変動対策の強化につながることが期待されている。
いまや世界最大の二酸化炭素排出国となった中国は、2030年までにCO2排出量をピークアウトさせ2060年までにカーボンニュートラルを実現するとしている。こうした中、中国ではビットコインマイニングが禁止される動きも出てきている。貴州省では、マイニングに利用されていた50テラワット時という電力を利用して、2023年までに3万8,000カ所の電気自動車用充電ポイントを設置するなど、気候変動に配慮した取り組みを推進している。
VeChainは、ルイ・ヴィトン中国の元最高情報責任者であるSunny Lu氏によって2015年に設立、2018年以降は企業やバリューチェーンにおけるブロックチェーンソリューションの提供に注力している。2021年8月には、世界的な水産物偽装の解決や農産物のトレーサビリティを向上など、消費者と特定の製品を結ぶサプライチェーンのアプリケーションに技術提供を行ったことを発表している。

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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