学習履歴をブロックチェーンで管理するeラーニングプラットフォーム「PoL(ポル)」を運営する株式会社techtecは10月15日、分散型金融(DeFi:Decentralized Finance)市場を牽引する英Aaveより、日本初・日本唯一の企業として資金調達の実施を発表した。
Aave(アーベ)は、イギリスのロンドンに本社を構える世界最大手DeFiサービス。主にレンディング領域でサービスを展開しており、1日あたり1,500億円超の流通額を誇る巨大市場を形成している。その他にも、無担保借り入れが可能なFlash Loans(フラッシュローン)や、自身の持つ与信枠を他者へ移譲するCredit Delegation(クレジットデリゲーション)といった先進的なサービスも提供している。2020年8月には、英金融行動監視機構(FCA: Financial Conduct Authority)より、「電子マネー機関」としてのライセンスを取得したことも発表しており、法定通貨と暗号資産(仮想通貨)の直接的な接続が可能となっている。
今回の資金調達は、Grant(グラント)と呼ばれる手法で実施される。Grantは、今や海外では一般的な手法であり、主にテクノロジー系の研究開発の文脈で利用される手法だ。株式に影響を与えずに資金を調達できるため、各国の規制に左右されず、海外からの調達といった重要な局面の中でも意思決定をスムーズに行うことができる点が特徴となっている。
現在、新型コロナウイルスの長期化に伴いあらゆる産業のデジタル化が急務となっている。ブロックチェーンを活用した金融産業を意味するDeFi市場は、各国の新型コロナウイルスに対する経済施策の恩恵を受けた領域の1つだ。ここ数ヶ月で市場規模が10倍以上に膨れ上がり、今なお急成長を続けている。techtecはこの盛り上がりを当事者として受け止め、日本初となる日本発のDeFiサービスを構築すべく、日本が緊急事態宣言下にあった5月より資金調達に動き始め、今回の資金調達に至った。調達額は非公開とされているが、今回調達された資金は全てDeFiサービスの開発に充てるとされている。
techtecの運営する「PoL(ポル)」は、日本で初めてオンライン学習にブロックチェーンを導入したeラーニングプラットフォームです。PoLのサービス上で蓄積された学習データはブロックチェーンに記録され、改ざんが困難な状態で管理される。同社はこの学習データを「Learning Score(ラーニングスコア)」と呼んでいる。
同社はこの資金調達により、このラーニングスコアをDeFiに接続する、「学習するほど金融サービスを享受できやすくなる」サービスという日本初となる日本発のDeFiサービスを構築していく考えだ。具体的には、DeFi市場の大きな課題の1つである過剰な担保率を解消するサービスを提供することが予定されているという。PoLで学習することによって蓄積されたラーニングスコアを軸に評価することで、DeFiを利用する際の担保率を一部PoLで肩代わりする仕組みだ。
techtecはまず、Aaveとの接続を行い、Aaveを利用する際の担保率(借りる際の利子率)を通常よりも抑えることができるか検証していくとしている。
techtecはこのラーニングスコアを活用することで、学歴評価に代わる新たな評価軸を導入した「学習歴社会」の実現を目指している。また、真に正しい学習データを蓄積することができるため、学歴の詐称を防止することも期待できる。実際、2019年に経済産業省および株式会社リクルートとの調査事業を行った結果、一定の成果を論文として発表している。
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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