金融機関同士のあらゆる国際送金を行うSWIFT(国際銀行間通信協会)が、国際送金の迅速化などを目的とした分散型元帳活用のPoC(Proof of Concept:概念実証)テストを実施した。その結果、銀行も報告要件コンプライアンスを準拠しつつ、分散型元帳を使用してリアルタイムの取引を行うことが十分にできると検証された。
SWIFTの研究開発責任者であるDamien Vanderveken氏は、ブロックチェーンのような分散型台帳技術を使用する強みについてこう語る。
「分散型台帳技術を使用することで、アクセス権の制御やユーザー特権の定義と実施、さらには機密データの物理的分離や関係者のみの保管が可能になった。また、リアルタイムなトランザクション情報の追跡や残高照会もできる。」技術的な面については「1年前に比べたら大きな進歩をしているし、素晴らしいことだ。」と続けた。
一方、商業規模での利用となるとより多くのチャネルを処理する必要があり、現在のブロックチェーンソリューションが対応できるトランザクション容量には限界があるとの指摘もある。Vanderverken氏も「チャネルがあまりに多い場合は、さまざまなことがより複雑になってしまうだろう。」と発言した。
SWIFTは、従来からのノストロ口座を利用した送金プロセスのガバナンスやセキュリティ、データプライバシーに関する要件を満たす方法を具体的に検討している。
国際送金を即時に行うソリューションといえば、やはりリップルなどの仮想通貨が先行している印象を受けやすい。しかし、従来から国際送金を行う際には必ず使用されてきたSWIFTも、ただ負かされるのを待つばかりではないということだ。分散型台帳のような技術を取り入れ、実際に全世界的に使われていくとしたらたしかに大きな進歩だ。今後の展開が楽しみだ。
【参照サイト】SWIFT Claims ‘Huge’ Progress on DLT Bank Pilot
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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