持続可能な航空燃料(SAF)スタートアップのSora Fuelは8月1日、シード期(創業前または創業後間もない企業が行う資金調達)に当初の目標を上回る(オーバーサブスクライブ)600万ドル(約8億8,000万円)を調達した(*1)。調達した資金を元手に、組織の拡大や商業パートナーシップの締結、技術の進化を進める。
今回の投資ラウンドは、マサチューセッツ工科大学(MIT)発のベンチャーキャピタル(VC)のジ・エンジン・ベンチャーズが主導し、ワイヤフレーム・ベンチャーズなども参加した。
航空機の排出量は、1960年代から4倍に増加しており、現在、世界の二酸化炭素(CO2)排出量の2.5%を占めている(*2)。航空需要が急増し続ける中で、SAFは排出削減が困難な航空分野を脱炭素化する上で重要な役割を果たすと、Sora Fuelは見ている。
既存のSAF製造プロセスには根本的な制約があり、有意義な影響を与えるには膨大なエネルギー、原料、投資が必要である。例えば、現在唯一商業的に実行可能なSAFである水素化処理エステル・脂肪酸(HEFA)プロセスは、限られた廃油原料に依存しており、それだけで1ガロンあたり3.5ドルもする。
アルコールを経由するプロセス(ATJ)は、農業と競合し、土壌の劣化につながる。廃棄物のガス化や、Point Sourceと呼ばれる方式でCO2を分離回収するパワー・ツー・リキッド(PtL)は、貴重な資源に依存することは少ない。ただし、両プロセスの基礎となる原料が非生物起源の炭素源を含むか、それに依存しているため、温室効果ガス削減効果はどちらも限定的である。
そのような中、Sora Fuelは重炭酸塩水電解槽を用い、ダイレクト・エアー・キャプチャー(DAC)コストはトンあたり20ドルと、既存のプロセスよりも一桁安いコストで大気中のCO2を回収・利用してSAFを製造する。合成ガスを製造するために、水と再生可能な電力だけを使用する完全なクローズド・ループ・システムとなる。
既存のDACソリューションと比較すると、同社のDAC-to-fuelsアプローチは、全体的なエネルギー投入量を劇的に削減し、空気と水以外の原料を必要としない。SAFや合成ガスからのダウンストリーム製品を効率的かつコスト効率よく製造するためのスケーラブルなプロセスを提供する。
Sora Fuelの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるギャレス・ロス氏は「弊社の技術は、現在標準的なDACプロセスで必要とされるエネルギーの90%を削減し、カーボンネガティブな燃料を製造するための全く新しく、よりサステナブルな道を切り開くものだ。我々の特許取得済みのクローズド・ループ・システムは、現在のジェットA燃料と同等の価格でSAFを生産できる」と述べた(*1)。
【参照記事】*1 Sora Fuel「Sora Fuel Secures $6M Seed」
【参照記事】*2 Our World in Data「What share of global CO₂ emissions come from aviation?」
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