三井住友信託銀行株式会社と株式会社三井住友トラスト基礎研究所は7月8日、「不動産の環境認証の取得状況および経済価値の調査 2024」の結果を発表した。都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)の賃貸オフィスビル市場(2023年末時点)を対象に、環境認証の取得状況と経済価値の関連を分析し、環境認証の取得有無・ランクの差がもたらす経済効果を明らかにする狙い。今回が3回目の調査。環境認証の最高ランクを取得した延べ床面積1万坪以上のビルでは、認証の取得が賃料を引き上げる効果が確認された。
調査では、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)、DBJ Green Building認証、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の3種類の認証制度で、2024年4月末時点で公表されている情報のうち、2023年12月末時点までに取得された環境認証に関するデータを収集し分析した。各種認証制度の最高ランクを「評価5」とし、評価5~評価1に分類を行った。
その結果、東京都心5区の賃貸オフィスビルの認証取得状況は、棟数ベースでは1932棟のうち542棟と全体の28%(2022年度比5ポイント増)だが、延べ床面積ベースで見ると1259万坪のうち681万坪と、全体の54%(同度比13ポイント増)を占め、調査開始以来初めて過半数となった。また、環境認証を取得しているビルでは、評価4以上を取得している物件が約9割に上った。
築浅・大規模ビルでは、最高ランクの評価5は、評価3より10.4%賃料が高い結果が推計された。また、東京都心5区の築浅・大規模ビルで環境認証取得前後の賃料比較を行った結果、評価5では+4.7%の賃料押上げ効果が推計された。
三井住友信託銀行は2010年に国内金融機関として初めて環境不動産の専担組織を設置した。環境不動産とは、環境に配慮し、環境性能が高く良好なマネジメントがなされている環境価値の高い不動産を指す。現在では建物の総合的な環境性能を評価するCASBEE認証申請支援コンサルティングに加え、再生エネルギーの導入支援、ワークプレイスの見直しなど、不動産ESG課題の解決を幅広くサポートしており、今回の調査もその一環。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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