一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は9月13日、休眠預金等活用法に基づく2021年度の「地域インパクトファンド設立・運営支援事業」における資金分配団体として、株式会社うむさんラボ、株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズの2団体を実行団体に採択したと発表した。
地域インパクトファンド設立・運営支援事業は10年以上取引のない預金等(休眠預金等)を、社会課題の解決や民間公益活動の促進のために活用する制度の一環。SIIFは事業を通して地域の金融機関とベンチャーキャピタルなどのエクイティ投資主体が協働する機会の創出を図る。なお、休眠預金等活用制度を活用した地域ファンドの組成支援は本事業が初めてとなる。
SIIFによると、地域ファンドの事例は徐々に現れつつあるものの、地域の金融機関が主体的に参画する事例はごく少数。同事業では地域活性化の文脈でそれを支える金融エコシステムがさらに成熟・進化し、インパクト志向企業の成長が促進されることを目指す。助成期間は資金提供契約締結後から25年3月31日。7団体から申請があり、採択は2団体、助成額合計は1億2000万円。
採択された2団体のうち、うむさんラボ社は沖縄県のSDGs(持続可能な開発目標)達成に向け、投資を通じ継続可能な社会課題解決型ビジネスを構築することを目的としたソーシャルインパクトファンドを組成する。社会課題解決型ベンチャー企業に対し、資金提供並びに経営支援を行い、企業の成長を支援する。また、地域の金融機関より出向者を受け入れ、ベンチャー企業の支援・育成の新しいエコシステムを構築することを目指す。
キャピタルメディカ・ベンチャーズ社は奈良県およびその周辺地域の課題解決を目的としたインパクトファンドを組成する。規模は10億円以上を想定しており、地域課題解決の実践者を30名生み出すことを社会的リターンとして設定している。また、社会的インパクト評価・マネジメント(IMM)を通じた起業家の育成・支援に重点を置き、本ファンドのキャピタリスト自身が起業家の伴走者として練達し、社会課題解決の実践者となることを目標とする。
SIIFは各団体に最大6000万円の資金提供を行うほか、ファンドとその投資先企業の成果(インパクト)を可視化するための社会的インパクト評価・マネジメント(IMM)の知見を提供。持続的なインパクト創出を後押しし、「地域による、地域のための社会課題解決の仕組みづくり」に寄与していく。
【関連サイト】一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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