一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は12月6日、一般財団法人ソーシャル・インベストメント・パートナーズ(SIP)と共同で運営する「日本ベンチャー・フィランソロピー基金(JVPF)」を通じ、住宅確保困難者への住宅を提供するリノベータ―株式会社、不登校者への塾を提供する株式会社キズキへの支援を開始すると発表した。公益財団法人日本財団から運営にかかる業務を一部引き継ぎ、社会課題の解決を事業で目指す企業を支援するもの。
JVPFは、2014 年に日本財団内の社会的投資推進室(SIIF の前身)が、パートナーであるSIPと共に設立した基金。17 年に日本財団から独立した後も、JVPF の設立メンバーである SIIFは、引き続き選定委員会やワーキンググループのメンバーとして JVPF に関わり続けてきた。今回、JVPFの運営が10年を迎え、当初設定していた日本財団によるプロジェクトの運営期間が10年を迎えたことを節目に運営体制を見直し、JVPFの運営に係る業務の一部をSIIF が引継ぎ、その資金を SIIF が活用し、支援を行う体制となった。SIIFはインパクト投資の案件組成や研究、エコシステム形成などの経験を活かし、新体制となったJVPFを通じて社会起業家の支援を行う。
リノべーター社は「全ての人に、こころ安らげる住まいを」をミッションに掲げ、一般的な賃貸市場では家を借りることが難しい住宅確保困難者(単身高齢者、生活保護受給者、外国人等)に対し、空き家などの築古物件を活用した住まいを提供。社会的、経済的に安定した生活を営める支援をしている。同時に、属性に関する偏見に基づいた住居可否基準という、住宅確保困難者を生み出す不動産業界の常識の変容を目指し、敢えて営利企業として経済性と社会性を両立させるビジネスモデルを追求している。同社の事業拡大に向けた先行投資を主な資金使途として、JVPFは3034万円の株式出資を行う。
キズキ社は、「何度でもやり直せる社会」を作り「事業を通じた社会的包摂」を目指すため設立。不登校・中退など様々な生徒を対象としたキズキ共育塾の運営を通じ累積 4000 人以上の卒業生が、学び直しを通じ「次の一歩へ」と人生を進めている。ほか、困難やメンタルヘルスで社会参画できていない人が多く存在する環境のもと、自治体と連携した貧困家庭の子ども支援やうつ病・発達障害の方を対象とした就労移行支援など、あらゆる層、多様なステージでのやり直しを支援すべく事業を拡げている。JVPF は今後3年、総額 3000万円の転換社債を引受け、事業拡大のための資金提供と経営支援を行う。
今回の支援について、SIIFは「JVPFの運営に係る業務の一部を引き継いだ第一号案件。支援先の 2 社は、社会の変化やひずみ、不寛容などにより、生きづらさを抱える人々の多様なニーズに対応する事業を行っている。社への支援を通じて、これからもベンチャー・フィランソロピーの広がりと、インパクト創出に尽力していく」とコメントを発表した。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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