一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)は6月24日、社会起業家支援プログラム「日本財団ソーシャル・チェンジ・メーカーズ」(SCM)の第一期生から選定された3社に、総額7千万円超の資金支援を決定したと発表した。支援の対象は、組積構造建物の外壁強化による耐震補強で世界の地震被害による犠牲者を減らす「株式会社Aster」、オンライン上で5人1組のコミュニティを形成し、生活習慣病の治療継続などの行動変容をサポートする「エーテンラボ株式会社」、知的障害のあるアーティストをプロデュースするエージェンシー「株式会社ヘラルボニー」の計3社。
SCMは日本財団と一般社団法人 ImpacTech Japanが推進するアクセラレーター・プログラム。行政による施策や公的サービスだけでは解決できない問題を解決するため、斬新なアイデアや手法で社会課題に挑むスタートアップを支援、社会に対するポジティブインパクトの創出を図る。
スタートアップの持続的な事業展開と自立した経営基盤を構築するため、プログラムでは約4ヶ月にわたり、各領域の専門家が講師およびメンターとしてスタートアップを多角的に支援。また、タイ、香港、イスラエルを中心にアクセラレーター・プログラムを展開するImpacTechのグローバル・ネットワークに所属する海外のメンターや専門家、卒業生らのコミュニティによるサポートも得ることができる。さらに、プログラム最終日に開催される「デモデイ」では、スタートアップには投資家や大手企業、そして日本財団からの資金調達などの機会が与えられる。2020年は第二期生として10社が参加した。
Asterは世界中の「組積造」建造物を強化する素材の開発・製造販売。世界人口の約6割が居住する脆弱な組積造(石やレンガの積み上げ)構造の住居の外壁・内壁に安価で高機能な樹脂素材による補強を施すことにより、地震や台風などの自然災害がもたらす住宅倒壊による犠牲者を大幅に減らすことを目指す。
エーテンラボは5人1組のチームを組み、励ましあいながら生活習慣改善に取り組むことができるデジタルピアサポートアプリ「みんチャレ」。日常生活での食事・運動習慣の改善や治療継続を楽しめるものに変えることにより、ユーザの人生・生活の質(QOL)の向上・疾病/疾病重症化の予防と、社会全体の医療費の削減・医療提供者のリソース不足の解消を実現する。株式投資型クラウドファンディングサービス「FUNDINNO(ファンディーノ)」では、目標募集額1600万円に対し5728万円を調達した。
ヘラルボニーは知的障害のある作家のためのアーティストエージェンシー。駅舎やオフィス壁面、食品などへのアート作品のライセンス提供・プロデュースとアパレルや雑貨などの自社ブランド製品の企画・製造販売を通じ、アーティスト個人に光を当て、社会に根付く偏見が払拭されることを目指す。
SIIFは今後、資金調達手法「J-KISS」による出資など、シード期の社会的企業の特性を踏まえた資金支援のほか、これまで経験・知見を蓄積してきた社会的インパクトの最大化を図る伴走支援も行っていく予定。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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