ヘルスケア分野に特化したベンチャーキャピタルの株式会社キャピタルメディカ・ベンチャーズは6月30日、投資先のベンチャー企業が創出する社会的インパクトの評価結果をまとめたレポートを発行した。レポートは神奈川県のヘルスケア・ニューフロンティア政策の一環として企画され、2018年3月に設立された「ヘルスケア・ニューフロンティア・ファンド(HNF)」において、同社が一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)の支援のもと策定。2018年度版(2019年9月5日公表)に続く第二弾となる。
レポートでは、投資先が解決に取り組む社会課題を明確に示し、社会的インパクトを含む事業の提供価値を「ロジックモデル」というフレームワークを活用して整理・分析している。ロジックモデルとは、事業と目指す社会的インパクトの関係を、インプット(投入資源)、事業活動、アウトプット(製品、サービスなど)、アウトカム(成果)の項目に分解し、論理的な関係として整理する際に使用する手法である。
投資先の提供価値を明らかにするとともに、「社会的インパクトの可視化がもたらすもの~新たに生まれるインパクト志向のお金の流れ~」をテーマに、キャピタル社の代表取締役青木武士氏と、投資先企業の株式会社Rehab for JAPAN、株式会社笑美面の2社、SIIF インパクト・オフィサー小笠原由佳氏による対談も掲載。社会的インパクトの評価導入に伴う現場レベルでの動きや社内外の変化などについて、それぞれの取り組みや知見を交わしている。
SIIFは「社会的インパクトの評価の導入支援により、ベンチャー企業の事業成長と企業価値の向上を支援するSIIFは、本レポートでも各社のロジックモデルの作成、データ収集・分析の支援を担った。キャピタリストからも支持され、投資先企業からも『社会的インパクトの評価に取組むことで、社員が仕事の意義を実感できるようになるものと期待している』『会社のミッションにどれだけ事業が貢献できているのか、評価を通じて得られたデータをどうプロダクトに落とし込んでいくかという意識が生まれた』とのコメントが寄せられている。社会課題の解決と財務的リターンを両立させるインパクト投資の認知や取り組みがさらに加速していくきっかけとなり、社会的インパクトを創出する企業へより多くの資本が集まっていくことを期待する」とコメントを発表した。
キャピタル社は、病院の経営支援や高齢者施設を運営する株式会社キャピタルメディカのコーポレートベンチャーキャピタル。キャピタルメディカのネットワークを活かし、投資先ベンチャーに対し、全国の医療機関と高齢者施設を実証フィールドとして提供することができる日本で唯一のヘルスケア特化型ベンチャーキャピタルとして活動中。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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