10年以上放置されている預金口座にある休眠預金を活用するため、一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)と信金中央金庫はパートナー協定を締結した。
SIIFが今年度、休眠預金等活用法にもとづき民間公益活動を行う団体(実行団体)に対する出資・助成等を行う資金分配団体として決定されたことを受け、信金中金と連携し、地域が抱える社会的課題を解決することに加え、SIIFが取り組んできた社会的インパクト評価(事業や活動の結果として生じた社会的・環境的な変化や効果〈アウトカム〉を短期・長期を問わず、定量的・定性的に把握し、事業や活動について価値判断を加える)の手法を、SDGsの推進および事業性評価の高度化に活用していく。
2月27日に公表された連携スキームでは、休眠預金は、金融機関から預金保険機構に移管され、同機構が指定活用団体である一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)に交付。JANPIAが助成金として資金分配団体のSIIFに交付する。SIIFは公募でNPO法人や企業などの実行団体を選定、助成を行っていく。信金中金は、信用金庫への各種情報提供、相談機能などで社会的インパクト評価実施などを支援するとともに、全国約250の信用金庫の協力でSIIFへ信用金庫からの案件の紹介などを行う。
休眠預金は預金者の死亡などで、毎年約1000億円規模で発生するとされる。これを社会課題の解決や民間公益活動のため2018年に休眠預金等活用法が施行され、休眠預金は預金保険機構や資金分配団体を経て、民間の公益活動に活用できることになった。SIIFと信用中金はSDGs(持続可能な開発目標)などの社会的要請に応える事業を支援することを目的に、19年12月にパートナー協定を締結した。両者は「地域社会の課題解決および持続可能な社会の実現に向けた社会的インパクトの創出に努めていく」としている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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