シュローダー、アセット・オーナー向けに「脱炭素化へのガイド」公表。効果的なネットゼロ投資戦略の策定・実行に向けて

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社脱は10月24日、脱炭素化についてまとめた「脱炭素化へのガイド」の日本語版を公表した。ガイドは3つのパートから成り、アセット・オーナーによる効果的なネットゼロ投資戦略の策定・管理に役立てる狙い。27日現在パート2までが公開されており、パート1「ネットゼロ計画の策定」は、組織にとって正しい戦略を設定する際に行う必要がある決定とステップについて、パート2では、これらの実践方法と利用可能な投資手段について解説している。

ネットゼロは、196ケ国が署名したパリ協定で、世界の気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求するという国際的枠組み。達成するためには、2010年比で、30年までに排出ガスを45%削減し、50年までにネットゼロを達成する必要がある。実現には発電方法から財・サービスの生産・消費など大規模な構造的変化が必要であり炭素価格や税金に関する方針、さらなる電化やよりグリーンなインフラを奨励する政策が求められる。レポートは「このような変革は、産業、企業及び投資ポートフォリオにおいて、価値創造と破壊の両方の源泉となる」と前置き。そのうえで、「アセット・オーナーにとって、ネットゼロ目標の設定は、低炭素社会への移行に関連するリスクの評価・管理方法になりうる」と提唱する。

理由として、ネットゼロ目標への道筋に整合することで、炭素集約度の高い投資にとってマイナスとなる経済的シフトによりポートフォリオの価値が低下するリスクを減らすことができる。同時に、資本をサステナブルで耐久性のある事業に振り向けることで、世界の前向きな変化を加速させることも可能だ。実際、アセット・オーナー(資産総額約13.9兆ドル)、シュローダーを含む資産運用会社(資産総額66兆ドル超)及びその他団体が、明確にコミットメントしている。例えば、22年の当社機関投資家調査では、調査対象となった770団体のほぼ40%が、ネットゼロ目標へのコミットメントあるいはビジネスモデルの移行を既に行っていた。

レポートは、続けて「5つのステップから成るフレームワーク」を使って、どのように効果的なネットゼロ戦略を策定し実行するか、について説明。5つのステップとは①策定理由と優先順位に合意する②期間と目標の設定③実施方法の設定④計測項目に合意する⑤ネットゼロ目標をサポートする投資方針。投資方針の事例として2つの組織の取り組みを「ネットゼロへの適合」「ネットゼロへの積極的行動」として紹介している。

ネットゼロ目標達成のための脱炭素化戦略の設定には、多くの関連事項の決定が必要となり、その後の運用管理に影響を及ぼす。同社は「全ての投資家にとって完璧なフレームワークは存在せず、脱炭素化戦略が他の全ての投資目標を達成するには柔軟性が必要」と同ガイドのパート1をしめくくった。

パート2「ネットゼロ計画の実施」では、ポートフォリオの脱炭素化は実行しながらもリターンを優先しようとする投資家に重点を置き、実施に必要な3つのステップについて考察している。

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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