ファッションブランドPIZZADAYが取り組むweb3でのサーキュラーエコノミーの姿

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引用:PIZZADAY

今回は、ファッションブランドPIZZADAYについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 「PIZZADAY」とは
    1-1.「PIZZADAY」の概要
    1-2.「PIZZADAY」立ち上げの背景
  2. 運営元である株式会社Spicelink
    2-1.株式会社Spicelinkの概要
    2-2.株式会社Spicelinkの事業内容
  3. 「PIZZADAY」の特徴
    3-1.web3ネイティブアパレルブランド
    3-2.サーキュラーエコノミーの実現
    3-3.尾州ウールを採用
    3-4.独自回収プログラム
  4. 「PIZZADAY」の今後の展開
    4-1.ロードマップ
    4-2.デジタルメンバーシップの販売
  5. まとめ

2023年5月22日、株式会社Spicelinkは、web3の力で世界のアパレルを変えるというミッションを掲げ、「廃棄ゼロ」の実現を目指すアパレルブランド「PIZZA DAY」をローンチしたことを明らかにしました。

PIZZA DAYは、着古したウール製品を肥料化することによって「サーキュラーエコノミー(循環経済)」を実現することに注力しており、2023年内にはアイテム販売第1弾として、フラッグシップアイテムである「メリノウールTシャツ」およびメンバーシップNFTをセット販売することが発表されています。

そこで今回は、新たにローンチされたPIZZADAYが取り組むweb3でのサーキュラーエコノミーの姿について、プロジェクトの概要や特徴などを詳しく解説していきます。

①「PIZZADAY」とは

1-1.「PIZZADAY」の概要

「PIZZADAY」とは、株式会社Spicelinkによって新たに発表された、服の新しい作り方、世の中への届け方にトライするweb3アパレルブランドのことを指します。

冒頭でも触れた通り、PIZZADAYは2023年5月22日にローンチされたばかりのブランドとなっており、100%生分解可能なウール製品を提供し、着古した製品を肥料化および土へ還元することを可能にすることによって、「廃棄ゼロ」の「サーキュラーエコノミー(循環経済)」実現を目指しています。

そもそもサーキュラーエコノミーとは、これまで提唱されていた減らすという意味の「Reduce(リデュース)」、繰り返し使用するという意味の「Reuse(リユース)」、再資源化するという意味の「Recycle(リサイクル)」を総称した「3R」に関する取り組みに加えて、資源の投入量および消費量を抑えながらストックを有効活用しつつ、サービス化などを通して付加価値を生み出す経済活動のことを指します。

サーキュラーエコノミーでは、資源や製品の価値を最大化すること、資源消費を最小化すること、さらに廃棄物の発生を抑止することを目指しており、企業における事業活動の「サステナビリティ(持続可能性)」を向上させるために必要不可欠であるとして、現在世界中でさまざまなビジネスモデルが展開されています。PIZZA DAYでは、こうしたサーキュラーエコノミーの実現に向けて、web3テクノロジーを用いた新たな資源回収プログラムの確立およびメンバーシップコミュニティの形成などを進めており、今後特に需要のある分野として大きな注目を集めています。

1-2.「PIZZADAY」立ち上げの背景

近年、アパレル業界は環境に対する負荷が特に大きい産業であると言われており、世界的な問題となっています。

具体的には、製品を製造したり処分したりする際に必要なエネルギー使用量や、そのライフサイクルが比較的短いこと、さらに、直径5mm以下のプラスチックごみの破片を指す「マイクロプラスチック」に関する問題などが挙げられています。

実際、スイスのジュネーヴに事務局を構える国際連合の補助機関「国連貿易開発会議(UNCTAD)」が、アパレル業界を環境汚染産業第2位であると指摘していることなどからも、業界における製品の大量生産や大量消費、大量廃棄といったモデルを早急に改善することが不可欠となっています。

このような状況の中、株式会社Spicelinkは、廃棄物をなくし、資源を循環させることによって自然を再生するサーキュラーエコノミーの実現に向け、PIZZA DAYを立ち上げるに至ったということです。

PIZZA DAYではアパレル製品の素材に注目し、それを100%土に返すことのできるウールにすることによって、製品の品質を保ちながら循環型の経済システムを実現することを可能にしています。

②運営元である株式会社Spicelink

2-1.株式会社Spicelinkの概要

株式会社Spicelinkとは2018年に設立された多角的な事業を展開する日本企業です。同社は、”時代を驚かそう”というスローガンに基づき、web3技術とクリエイティブ力を組み合わせて、新しいコミュニティ形成やブランドコミュニケーションを進化させています。

代表の高田基以氏は、10年以上にわたり広告代理店でビジネスプロデューサーとして活動した経験を持ち、クリエイティブ、マーケティング、コミュニケーションデザインなど多岐にわたる専門知識を有しています。2019年からは、ブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスモデル構築にも積極的に挑戦しており、特に「SynchroLife(シンクロライフ)」というブロックチェーンを活用したグルメSNSの国内展開に携わっています。

本社を愛知県名古屋市に構えるSpicelinkは、2022年12月にソフトバンクが運営する愛知県のスタートアップ支援プログラム「STATION Ai」にも採択され、今後さらなる成長が期待されています。この支援を通じて、サーキュラーエコノミーアパレル事業、特に今回注目するPIZZADAYのさらなる拡充を目指していると言われています。

2-2.株式会社Spicelinkの事業内容

株式会社Spicelinkが手がけている主な事業内容は、下記の通りとなっています。

Web3関連事業

  • Web3を活用したアパレルブランド「PIZZA DAY」の運営
  • NFTに関する新規事業のサポート
  • Web3専門メディア「ほろよいWEB3」の運営
  • 「ほろよいWEB3」とは、web3関連のトピックを気軽に語るポッドキャスト番組であり、Spotifyでのトップポッドキャストチャートにも登場しています。

ブランド&イノベーション関連

  • ブランド開発支援
  • コミュニケーションデザイン
  • デジタルマーケティング
  • デジタルマーケティング戦略の構築

③「PIZZADAY」の特徴

3-1.web3ネイティブアパレルブランド

PIZZA DAYはweb3の考え方やテクノロジー、meme(ミーム)カルチャーをアイデンティティに採用しています。具体的には、PIZZA DAYは「ポリゴン(Polygon)」のブロックチェーンで「ERC721」規格のNFTとしてメンバーシップを提供。このメンバーシップを持っているユーザーは、会員限定の特典を受け取ることができます。

さらに、このメンバーシップは永続的であり、NFTとしての譲渡や売却も可能です。そして、仮想通貨だけでなく、クレジットカードでの購入も可能です。2023年内に第1弾がリリース予定で、詳細はPIZZADAYの公式SNSや「ディスコード(Discord)」で告知されます。

3-2.サーキュラーエコノミーの実現

前述した通り、PIZZA DAYでは廃棄ゼロによるサーキュラーエコノミーの実現に尽力しています。

具体的には、100%生分解が可能なウール製品を世の中に対して提供することで、着古した製品を肥料化し、土に還元することを可能にしています。また、PIZZA DAYでは製品の回収や肥料化、土への還元までを一気通貫で行うことによってサーキュラーエコノミーを実現し、廃棄ゼロの社会に向けた積極的なアプローチを行っていくとしています。

さらには、前述した大量生産や大量消費、大量廃棄といった悪循環を改善し、必要な量だけを生産する受注生産モデルの構築を目指すほか、ユーザーのサスティナブルな行動を見える化する「ロイヤリティプログラム」を導入することによって、環境問題の改善に取り組んでいきたいと説明しています。

なお、ロイヤルティプログラムについては、これまでアパレル業界で広く利用されていた購入金額や利用回数に応じてクライアントに特典を付与するというかたちだけでなく、ブランドが定義するサスティナブルな行動に対しても、何らかの特典を付与するということです。

PIZZA DAYの発表によると、このロイヤルティプログラムは2023年中に導入される予定となっています。

3-3.尾州ウールを採用

前述した通り、PIZZA DAYの製品には100%生分解が可能なウール素材が使用されていますが、この素材にもかなりのこだわりを見ることができます。

具体的には、イタリア北部に位置する「ビエラ」、イギリス北部に位置する「ハダースフィールド」と並んで毛織物の世界三大産地と言われている、日本の愛知県一宮市を中心とする「尾州」で生まれた「尾州ウール」を採用しています。PIZZA DAYのウール製品にはすべてこの尾州ウールが使用されているため、ただ環境に優しいだけでなく、品質も十分に保証された製品であると言うことができます。尾州ウールはその高品質な質感から、国内はもちろんのこと、海外のハイブランドなどからも高い信頼を獲得しているということです。

なお、素材にウールを採用した理由としては、下記に挙げるようなウールの特性が関係しているということです。

・100%土へ還る
・100%天然繊維
・再生可能性
・吸放湿性や防臭性
・耐汚性と快適な着心地

3-4.独自回収プログラム

引用:PIZZADAY

PIZZADAYは、独自の回収プログラムを通じて、製品の回収率を高める試みを行っています。具体的には、製品を回収したユーザーに「記念NFT」という形でインセンティブを提供しています。

製品に使用されているウールは、地中に埋めることで微生物によって自然分解され、土壌に必要な栄養素(窒素、リン、硫黄、マグネシウムなど)を供給することができる、とされています。

④「PIZZADAY」の今後の展開

4-1.ロードマップ

PIZZADAYの公式ウェブサイトにおいて公開されているロードマップによると、今後のプロジェクト展開は下記のように計画されています。

2023.08 デジタルメンバーシップ発売
2023.11 Tシャツ発送開始
2024.Summer 廃棄服の回収プログラムスタート

4-2.デジタルメンバーシップの販売

引用:PIZZADAY

公式ロードマップで触れられている通り、PIZZADAYは2023年7月にデジタルメンバーシップを発売する予定です。このメンバーシップには、特別なTシャツとメンバーシップNFTが含まれています。

特に注目されるのは、このTシャツに使われている「メリノウール」という素材です。メリノウールは、繊維が細く白いことで知られ、多くの高級ファッションアイテムで使用されています。この素材によって、快適な着心地と優れた機能性が提供されます。

Tシャツのデザインは現在開発中で、その進捗はブランドの公式SNSやディスコードで随時公開される予定です。また、メンバーシップには他にも様々な特典があり、詳細は後日発表されるとのことです。

⑤まとめ

近年、アパレル業界はその環境への負荷が問題視されており、早急な対策が求められています。そんな中、PIZZADAYでは製品に100%生分解が可能なウール素材を用いることによって、製品を肥料化し土へ還元するというサーキュラーエコノミーを実現しています。また、NFTを取り入れたデジタルメンバーシップ制度を設け、インセンティブを付与することによって製品の回収率向上を図るなど、web3テクノロジーをうまく取り入れたプロジェクト展開にも注目が集まっています。

公式ウェブサイトによると、2023年内には第1弾となるデジタルメンバーシップの販売を計画しており、詳細についてはブランドサイトや公式SNS、また公式ディスコードにおいて随時公開されていく予定となっているため、興味のある方は今のうちに各SNSをフォローしておくことをおすすめします。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12