資産運用大手のシュローダーは1月28日、運用するすべての資産において「ESGインテグレーション」が完了したと発表した。ESGインテグレーションは、証券投資の分析や意思決定プロセスに、財務情報のほか、ESG(環境・社会・ガバナンス)といった非財務情報を取り入れる方法。シュローダーではファンド・マネージャーやアナリストが、ESGインテグレーションを体系的に組み込んだ運用を実施。「投資先企業に係る経営環境や様々なステークホルダー(利害関係者)への対応を、より幅広い視野で評価することに繋がり、伝統的な財務分析のみを評価するより、その企業の将来の投資機会やリスクに対する理解が深まる」と同社。得られた効果は、顧客のリスク調整後リターンの最大化に貢献するとしている。
同社はESGインテグレーションの次のステップとして、投資が及ぼすインパクトとその結果として直面するリスクを把握することを目指す。「SustainEx」、「カーボン VaR(バリューアットリスク)」、「ThemeX」など独自に開発したツールを通じ、投資家の皆様に投資がおよぼすインパクトに関して意味ある情報を提供していく考えだ。ESGインテグレーション担当ヘッドのステファニー・チャン氏は「ESG が及ぼす経済的影響を理解することは、顧客に長期的に優れた運用成績を提供するため、効果的な投資判断を行う上でますます重要になってきている。そのため当社は2019年、運用するすべての資産において SG要素を運用プロセスに適切に組み込むという目標を掲げ、達成できた。次の段階では、顧客の投資がおよぼすインパクトと、それらのインパクトが生み出す経済的リスクと投資機会を把握し、サステナブル投資のラインナップを拡充していきたい」コメントしている。
サステナブル投資について、同社は「サステナブル投資と強固なリターンは相反するものではなく、ますます密接に関連している。社会や環境に関連して企業が直面する課題は深刻化しており、それに適応できるビジネスを構築している企業は、そうでない企業に比べてリターンを増加させたり、リスクを低減させたりすることができる」という見方で、サステナビリティ分析は、企業の将来の価値を測るより伝統的な評価方法と統合して用いることで評価・分析の精度を高め、パフォーマンスを向上させることができる、としている。
【関連サイト】シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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