資産運用大手のシュローダーは日本時間の1月20日、「COP15が発した明確なシグナル」と題したレポートで、グループCEOのピーター・ハリソン氏のコメントを発表した。2022年12月に開催された「第15回生物多様性条約締約国会議(COP15)」の結果を踏まえ、投資家や企業をはじめ社会に求められることについて「COP15は『自然を大切にすることが急務』という明確なシグナルを発した。世界は自然への投資に数十億ドルを動員しているが、それを数兆ドルにまで早急に引き上げなければならない」と投資の拡大を主張している。以下、要約する。
23年を迎え、自然や生物多様性がかつてないほど脚光を浴びている。 COP15は「2030年までに地球上の陸域、海洋・沿岸域、内陸水域の30%を保護する」という合意とともに閉幕、自然を大切にすることが急務いう明確なシグナルを発した。世界は今、自然への投資に数十億ドルを動員しているかもしれないが、それを数兆ドルにまで早急に引き上げなければならない。公的資金と並んで、公正で効果的な方法で展開される民間資金が重要な役割を果たすことになるだろう。
COP15が気候変動対策の兄弟のような存在であるCOP27に比べて「注目度が低い」と指摘するコメントもあるが、合意された枠組みは、ビジネスや金融にとって無視できないシグナルを発信している。「自然のためのパリ協定」が期待され、30年までに地球上の30%の自然を保護する目標を含む成果が得られ、自然保護への取り組みに大きな節目となったのは間違いない。
しかし、経済と社会を支えている自然界を守るために必要な資金を、今日の私たちはまだ満たしていない。COP15での合意は、私たちが自然を守るために毎年費やしている金額と、30年までに費やすべき金額との間にある7000億ドル規模のギャップを埋めることを目的としている。
シュローダーの「グローバル投資家調査」では、63%の投資家がファンドマネジャーに対し、自然資本と生物多様性を重視したエンゲージメントの実施を求めている。「ハリソンCEOは「本当に必要な資金フローの規模に到達するためには、モントリオールで合意された枠組みが、気候変動で見られるように政策とインセンティブ(およびディスインセンティブ)に関する迅速かつ深い連携に転じる必要がある。そして、企業の情報開示を含む、より大きなデータ共有に向けて推進されるだろう」と述べている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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