個人投資家はこれまで、長期間を必要とするようなインフラ投資などの新たな投資分野への投資から除外されてきた。しかし、規制の変化や投資ファンドやテクノロジーの革新によって、個人投資家が政府や大手機関投資家と同じ投資機会に参加できる条件が整いつつある。シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社は、1月11日に発表したレポート「再生可能エネルギーが個人投資家に適している理由」で、再生可能エネルギーは現在、リターンとリスク管理の両面で、新たな投資機会を提供していると解説している。
レポートは「再生可能エネルギーは価格も劇的に改善し、化石燃料との競争力を高め、最も費用対効果の高いエネルギー発電形態となりつつある」と前提。投資家の需要も変化しており、個人投資家は現在、特にプライベート・マーケットやエネルギー移行関連のインフラ資産への投資を積極的に検討しているという
シュローダーが2万3950人の投資家を対象に実施したグローバル投資家意識調査によると、46%の投資家がプライベート・マーケットに10~30%の資産配分を望んでいることが判明した。また、半数近く(47%)が、資産配分を増やしたい資産クラスの上位にインフラストラクチャーと再生可能エネルギーを挙げた。
リスク、リターン、インパクトという面から考慮すると、先進国における典型的な再生可能エネルギー投資ポートフォリオは、バイ・アンド・ホールドベースで年率8.5~10%のリターンが期待されている。これは上場株式と同水準だ。シュローダーの調査によると、株式は時価総額と地域的フォーカスに左右されるものの、今後30年間で年率6~9%のグロス・リターンを達成すると予想している。
さらに、脱炭素化に必要な隣接技術、例えば、重工業向けのグリーン水素、短時間で稼働するバッテリー蓄電システム、暖房や冷房の電化、輸送の電化などは、いずれも現在より高いキャッシュフローを生み出す機会を提供する。
再生可能エネルギーへの投資は、サステナビリティやインパクトの面でもメリットがある。シュローダーは「個人投資家は、投資先が単に被害を避けるだけでなく、気候変動のソリューションに貢献することをますます期待するようになっている」として、再生可能エネルギーやエネルギー移行に沿ったインフラストラクチャーは、生産されるグリーン電子や、家庭や電気自動車の動力源として、具体的に測定することができる。そのため、これらの資産によるネット・ゼロ経済への貢献が明らかになるという見解を示した。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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