ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ株式会社が実施した「2023年ファンド投資家調査」で、「高水準のインフレ率と景気後退は避けられないが、投資リターンには楽観的」なファンド投資家の意識が浮かび上がった。同社の2月14日付の発表では、23年はアクティブ運用、サステナブル投資、プライベートアセットが主流になると考える投資家が増えているようだ。
調査は、世界の主要なウェルスマネジメント、プライベートバンク、保険会社など、総額30兆ドル超の顧客資産を運用する441のファンド投資家を対象に調査を実施。23年はインフレ(70%)と金利(63%)が引き続きポートフォリオにおける最大の懸念材料であり、経済面の最大のリスクとしては中央銀行の政策ミス(52%)が挙げられた。また、62%がグローバルな貿易体制から、国内や友好国への生産移転が起こることが、経済成長の妨げにつながるのでないかと懸念している。
見通しは厳しいが、投資家は今年もリターンに関しては楽観的な見方を持っており、73%が平均的なリターン想定は8.8%を維持、もしくは引き上げると回答。期待されるリターンを実現するためにポートフォリオ戦略を大きく変更させる必要があると考えている投資家は少ないが、不確実な経済・市場環境を乗り切るために、小規模ながらも重要な配分の変更を計画している。
インフレはポートフォリオの大きなリスクとみなされる一方、インフレに伴う金利上昇を潜在的な投資機会として見られている。回答者の4分の3が金利上昇は伝統的な債券の復活をもたらすと考えており、51%が国債への投資を増やし、46%が投資適格社債への配分を増やすと回答した。
サステナブル投資は、2023年に最も大きな配分の増加が見込まれており、ファンド投資家の61%が配分を増やすと回答。中でも、EMEA(欧州・中東・アフリカ)では、MIFID III(EUの金融商品市場規制)によりすべてのファイナンシャルアドバイザーが顧客とサステナブル投資について話し合うことが求められることになることから、74%が配分を増やすとしている。北米では、ファンド投資家のうち、サステナブル投資を増やす計画があるのは48%にとどまった。サステナビリティを強化するためにプライベートアセットに目を向ける投資家も多く、30%がインパクト投資のためにプライベート市場に着目すると回答した。
ESGモデルの提供も注目されており、ファンド投資家の約半数(49%)が、自社が提供するポートフォリオにサステナブル・ポートフォリオを追加する予定であると回答した。
ナティクシスIM日本法人の井上真司代表取締役社長は「23年にはサステナブル投資への配分が最も大きく増加すると予想される。プライベートアセットの人気が高まっており、調査対象のファンド投資家の半数がプライベート投資の提案を増やす計画。つまり、今年はインカムを獲得するための戦術転換の年になると言える」とコメントしている。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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