スイスのジュネーヴに拠点を置く世界有数の海運会社Mediterranean Shipping Company(MSC)は、イスラエルのブロックチェーン企業Wave社の電子船荷証券(eBL)ソリューション「WAVE BL」をローンチしたと発表した。4月28日、同社のホームページで伝えている。
MSCは、世界155カ国に拠点を置く、海運·物流分野でグローバルに事業を展開する海運会社だ。2021年時点で570隻のコンテナ船を運用し、500の寄港地と215の航路を持ち、最新のグリーンテクノロジーを備えた船隊で年間約2,150万TEU(20フィート換算)を輸送している。
同社が採用したWave BLは、独立したブロックチェーン・プラットフォームを介して提供されるこのユーザーフレンドリーなソリューション。貨物の出荷予約に関わるすべての関係者が、安全な分散型ネットワークを介して船荷証券の発行、譲渡、承認、管理を電子的に行うことが可能だ。MSCが採用するeBLでは、開運・貨物輸送業界がこれまで慣れ親しんだ紙ベースのプロセスを反映していることが特徴だという。
eBLにより、文書の紛失・偽造・不正のリスクがなく、今まで数週間かかっていた文書の転送が即座に完了することが可能だ。また、昨今注目される環境負荷の観点からもペーパーレスで二酸化炭素排出量を削減できる他、宅配便・銀行の手数料を削減でき、24時間365日さまざまなデバイスからアクセスできる、といったメリットもある。
シンガポール海事港湾局(MPA)によると、コロナ禍にもかかわらず、船荷証券は全体の0.1%しか電子化されていないという。電子船荷証券のオープンソース規格を策定に取り組むDCSA(Digital Container Shipping Association)の調査では、今後2030年までに業界の50%がeBLを導入すれば、年間40億ドル以上のコスト削減が見込めることも報告されている。
海運流通におけるBLは、貨物受領書のほかに、法的所有権や貿易金融証明としても不可欠なため、コスト削減とともに不正リスクを回避するブロックチェーンはその活用が模索されてきた。eBLソリューションには、Wave社のほかにもエンタープライズ・ブロックチェーン企業のR3や、欧州スロベニアのIT企業CargoXなど、さまざまな企業が取り組みを進めている。海運大手マースクもブロックチェーンを使った貨物の追跡に取り組んでおり、プロセスをデジタル化し、より迅速・安全に、パンデミックにも適応可能にするため試みだったという。
【参照記事】SAVE TIME AND REDUCE COSTS WITH MSC ELECTRONIC BILL OF LADING (EBL)
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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