先駆的な米国独立系投資リサーチ企業であるモーニングスターは4月21日、サステナリティクスとの買収に合意したと発表した。サステナリティクスは、環境・社会・ガバナンスのESG格付と調査で知られている。
モーニングスターとサステナリティクスは2016年からサステナリティクスのESG格付に基づいたサステナビリティ・ファンドなど投資家への商品・サービス提供で提携しており、2017年から同社の株式の約40%を保有していたが、残りの60%を今後取得する予定だ。
買収にあたってはまず約5500万ユーロが現金で支払われ、残りは2020年と2021年のサステナリティクスの業績により決められる。モーニングスターはサステナリティクスの価値を1億7000万ユーロと見ている。
モーニングスターは27か国で投資家向け商品・サービスを提供しており、運用資産総額は2019年末時点で約2330億ドルに及ぶ。同社取締役のKunal Kapoor氏は「現在の投資家は、ESGデータ、リサーチ、格付、ソリューションを必要としている。情報に基づいた投資決定をするためだ。」と述べる。
一方のサステナリティクスは世界4万社の企業データと172か国、2万社のESG格付を提供しており、25年以上にわたって業界をリードしてきた。現在はオランダに本社を置き、650人の従業員、世界に16拠点を展開しているが、統合後も現在の指揮体制を維持する。
同社CEOであるMichael Jantzi氏は、「これまで行ってきた2社の提携が相互理解を深め、この統合につながった。新しい関係が、我々の力を高めるだろう。そして、重要なことは、私だけでなく同僚も、モーニングスターで、さらに我々の力が拡大することを期待しているということだ」と述べた。
今後、モーニングスターとサステナリティクスは1企業の株式からポートフォリオまであらゆるレベルの投資分析を全投資家に提供する計画で、モーニングスターは、サステナリティクスの事業を拡大し、投資の民主化を後押しする。

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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