金融庁は3月8日午前、仮想通貨交換業者7社を一斉に行政処分することを発表した。行政処分のうち、業務停止命令を受けたのはFSHO、ビットステーションの2社。業務改善命令の対象は、テックビューロ、GMOコイン、バイクリメンツ、ミスターエクスチェンジ、コインチェックの5社だ。
関東財務局はコインチェックの事故を踏まえて、同社に対し1月26日に資金決済に関する報告徴収、29日に業務改善命令を発出し、2月2日に金融庁において立入検査に着手、2月13日に報告を受け、今回は2度目の業務改善命令となる。
コインチェックに対する処分内容は、まず「(1)適正かつ確実な業務運営を確保するための対応」についてだ。この項目では「1.経営体制の抜本的な見直し」「2.経営戦略を見直し、顧客保護を徹底」「3.取締役会による各種態勢の整備」「4.取り扱う仮想通貨について、各種リスクの洗出し」「5.マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与に係る対策」「6.現在停止中の取引再開および新規顧客のアカウント開設に先立ち、各種体制の抜本的な見直し、実効性の確保」を挙げている。
業務改善命令では、同社が取り扱う仮想通貨が内包する各種リスクを適切に評価していないとされた。昨年秋以降、仮想通貨が広く認知されビットコインに参加するユーザーが増加したものの、それに応じた各種内部管理態勢および内部監査態勢の整備・強化を行っていないことが問題視された。
財務省関東財務局は、取締役会において顧客保護とリスク管理を経営上の最重要課題と位置づけておらず、経営陣の顧客保護の認識が不十分なまま業容拡大を優先させたことによるとしている。同時に、監査役も機能を発揮していないなど経営管理態勢および内部管理態勢等に重大な問題が認められたことから、業務改善命令を発出するに至った。
そのほか、今回の行政処分を受けた企業のうち、FSHOとビットステーションは3月8日から4月7日まで業務停止となる。FSHOは職員向けの研修も行っておらず、社内規則等が定まっていないとされており、ビットステーションは経営企画部長が利用者から預かった仮想通貨(ビットコイン)を私的流用したことが問題となった。
また、前述したコインチェックに加え、システム障害や不正アクセスなど多くの問題がありながら、原因分析およびユーザーへの情報開示が不適切とされるテックビューロや、ユーザーが急増し、システム障害が頻発するなか原因分析が不十分とされるGMOコインなどに対し、管理態勢の構築や書面での定期的な報告を求めている。
今回の行政処分では、各社が抱える課題だけでなく、仮想通貨業界全体の問題が浮き彫りとなった。自主規制団体や行政による市場整備により仮想通貨業界が厳格化され、より健全な運営が行われていくことが期待される。
【参考ページ】金融機関等に対する行政処分:財務省関東財務局
【参考ページ】テックビューロ株式会社に対する行政処分:財務省近畿財務局
【参考ページ】ビットステーション株式会社に対する行政処分について:財務省東海財務局
【関連ページ】仮想通貨交換業社16社、自主規制団体設立へ
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