環境省は4月4日、地域の金融機関によるESG対応を促進するための取り組みの一環として、全国各地の金融機関のESG対応事例についてまとめたレポート「事例から学ぶESG地域金融のあり方」を公表した。
本レポートでは、2015年に採択されたパリ協定やSDGs(持続可能な開発目標)を背景に世界的にESG(環境・社会・ガバナンス)を考慮した投融資が急速に広がっているなか、地域の金融機関がどのようにESGに取り組んでいけばよいのか、具体的な事例をもとに解説されている。
具体的には、ESG地域金融においてはESG要素を考慮した「案件組成」「評価」「モニタリング」を通じて、取引先の価値向上や将来のキャッシュ・フローを改善し、金融機関としてのリスクを抑えるとともに地域の環境や経済・社会に持続的に貢献することを目指すとしたうえで、融資可否の検討やリスク・機会の検討においてESG要素を考慮するほか、資金供給の意義を明確にするため、地域の環境や経済・社会へのインパクトを評価することを指南している。
また、滋賀銀行や佐賀銀行、鹿児島銀行など地方銀行のESG対応に関する先行事例も多数掲載されており、具体的なケースに基づいて評価のポイントやESG融資のスキームについて学べるようになっている。
日本では伝統的に間接金融による資金調達割合が大きいため、地域の中小企業の経営を支援している地域金融機関がESGを考慮したうえで融資判断、事業支援を行う意義は非常に大きいと言える。地域金融機関を通じて地方の中小企業のESG対応が進んでいけば、長期的な競争力の向上にもつながり、日本経済全体に大きなインパクトをもたらしうる。
今回環境省が公表したレポートをもとにさらに地域金融機関でESG対応が進み、地域経済のサステナビリティが高まることを期待したい。
【参照リリース】「事例から学ぶESG地域金融のあり方」の公表について
【レポート】事例から学ぶESG地域金融のあり方

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

最新記事 by HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム (全て見る)
- DNV報告書:代替燃料船の急増も燃料供給が追いつかず、海運業界の脱炭素化に新たな課題 - 2025年9月12日
- ISO・GHGプロトコルが温室効果ガス算定の世界統一基準で戦略的提携を発表 - 2025年9月12日
- 香港金融管理局、サステナブルファイナンス分類体系の第2A段階プロトタイプでパブリックコンサルテーション開始 - 2025年9月11日
- 豪Wollemi Capital、再エネ企業MPowerを約29億円で買収 今後18カ月で1億豪ドル超を追加投資へ - 2025年9月11日
- ソニー、2030年までに温室効果ガス25%削減へ 新中期環境計画を発表 - 2025年9月10日