マッカリーとBCI、循環経済企業Renewiの買収完了 欧州の廃棄物処理大手に大型投資

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マッカリー・アセット・マネジメントとブリティッシュ・コロンビア・インベストメント・マネジメント(BCI)は6月6日、廃棄物を製品に転換する大手企業Renewiの買収を完了したと発表した。両社のコンソーシアムは、オランダとベルギーを中心に年間1000万トン以上の廃棄物を処理する同社を通じて、欧州の循環経済市場でのプレゼンス拡大を図る。

Renewiは、廃棄物や使用済み材料から価値を抽出することに特化したリサイクル専業企業で、焼却や埋め立てからの廃棄物転換を事業の中核に据えている。同社は主にオランダとベルギーの約150拠点で事業を展開し、革新的なプロセスと先進技術を活用して、廃棄物を紙、金属、プラスチック、ガラス、木材、建材(砂、砂利、セメント代替品を含む)、堆肥、水などの循環資源に変換している。

今回の買収により、コンソーシアムはRenewiのオランダ、ベルギー、フランス、ポルトガルにおける循環経済リーダーとしての地位をさらに強化する計画だ。特に、同社が最近開始した物流・処理能力強化を目指すイニシアチブを支援し、成長目標の達成とリサイクル収率のさらなる向上を目指す。

マッカリー・アセット・マネジメントは過去15年以上にわたり、欧州、南北アメリカ、アジア太平洋地域で廃棄物管理セクターへの投資・運営を手がけてきた実績を持つ。一方、BCIはインフラストラクチャー&再生可能資源プログラムを通じて、規制公益事業、エネルギー、通信、運輸、林業、再生可能資源、アグリビジネスなど、長期的な有形資産への投資を行っている。

欧州では、2024年に施行されたCSRDによって企業のサステナビリティ報告義務が強化されただけでなく、2025年2月には包装・包装廃棄物規則(PPWR)が発効し、すべての包装材に対して再利用やリサイクル設計が義務化された。また、製品全体の環境性能に関するルールを定めるエコデザイン持規則(ESPR)も2025年より段階的に適用が始まり、鉄鋼・繊維・電子機器などが対象となっている。こうした複数の制度は、循環経済を単なる理念から実効性ある市場ルールへと進化させるものであり、廃棄物処理・再資源化を事業とする企業にとって、規制リスクと同時に大きな成長機会をもたらす。今回のRenewi買収は、そうしたパラダイム転換の中で加速する「サーキュラーエコノミーへの資本流入」を象徴する案件といえるだろう。

【参照記事】Macquarie Asset Management and BCI complete acquisition of Renewi

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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