キリンホールディングス株式会社は1月27日、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)のサポーターネットワーク“The TNFD Forum” に参画したことを明らかにした。TNFDは、企業などが自然に関連したリスク情報開示を行い、自然に良い影響(Nature Positive)をもたらすよう資金の流れが転換されることを目指し、情報開示を行うためのフレームワークの開発、提供を行う国際的な組織。The TNFD Forumはミッションとビジョンを共有するためのネットワークで、国内食品飲料・医薬品として初の参画となる。
TNFDは2019年1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で発案され、21年に、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、民間団体の世界自然保護基金(WWF)およびイギリスの環境NGOグローバル・キャノピーによって正式に発足。TNFDが開発する情報開示フレームワークは、世界16ヵ国の金融機関、企業やマーケットサービスプロバイダーなどから選出された34人からなるタスクフォースで議論が進められている。
キリングループは自然の恵みを原材料に、自然の力と知恵を活用して事業活動を実施していることから、生物多様性の保全を重要な経営課題と認識し、「キリングループ生物多様性保全宣言(2010年)」のもと、取り組みを進めてきた。今回の参画について「タスクフォースの議論に積極的に貢献するとともに「自然資本」および生物多様性に関する取り組みを加速させ、国際社会とともに生物資源の保全に取り組んでいく」とコメント。
また、複合的に発生し相互に関連する環境問題に対しては、キリングループの「環境ビジョン2050」で掲げている4つの課題(生物資源・水資源・容器包装・気候変動)を統合的に捉え、取り組んでいく方針。
自然資本とは、再生可能および非再生可能資源や生態系サービスのフローを社会に供給する自然資産のストックで、森林、土壌、水、大気、生物資源などを指す。自然によって形成される資本(ストック機械、車両、建物などの人工資本、人間の知識、判断力、経験などの人的資本と3つの資本が経済活動の基盤を形成すると考えられている。
大気や水などは人工資本とは異なり、金融的な価値を評価しにくいとされてきたが、近年は企業などが定量評価、管理の取り組みを開始している。資産運用大手のシュローダー社は21年8月のレポートで「生物多様性の損失や再生可能な資源の枯渇など、自然資本の劣化は、企業とその収益、投資家にとって現実的なリスクとなる」との意見を紹介、企業や銀行、投資家に関心を促した。
【参照リリース】キリンホールディングス株式会社「『自然関連財務情報開示タスクフォース』(TNFD)の“The TNFD Forum”に参画」
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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