花王株式会社がプラスチックごみ問題への対策を加速化させている。3月17日、自社製品の「プラスチックボトルレス化」と「プラスチック製アイキャッチシール」の廃止を発表した。
プラスチックボトルレス化では、4月11日からシャンプーとコンディショナーの詰め替え用フィルム容器をセットするだけで繰り返し使える「スマートホルダー」の店頭販売を拡大する。
また、今春発売する「ビオレu」全身洗浄料 、ボディケア製品、入浴剤には商品(パッケージ)に添付しているアテンションツール「プラスチック製アイキャッチシール」を順次廃止する。いずれも、花王のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」(キレイライフスタイルプラン)の注力アクション「リデュースイノベーション」の取り組みの一環で、同プランの19の重点取り組みテーマのなかでは「ごみゼロ」に貢献するものに位置付けている。
プラスチック製アイキャッチシールは、消費者の購入時に商品特徴や正しい使用方法などを的確に伝達できるメリットがある反面、プラスチック使用量が増え、プラスチックごみや廃棄時のCO2排出量の増大につながるという課題があった。今後はアイキャッチシールで訴求していた内容をボトルに記載することで廃止を実現。使用方法の伝達などが必須な場合はFSC認証紙などの認証紙への変更を行うか、他のコミュニケーション方法に切り替えるなどし、2021年末までに全廃を目指す。
プラスチックボトルレス化では、同社は2016年に、シャンプー・コンディショナー・全身洗浄料など、粘度の高い製品向けのつめかえ用製品「ラクラクecoパック」を発売している。詰め替えやすく、またフィルム製のため、従来容器に比べプラスチック使用量を約80%削減できる。製造から使用、廃棄までの過程で生じるCO2排出量も約3%削減した。今回店頭で販売するスマートホルダーは、ラクラクecoパックをセットする(付け替える)ことで、繰り返し使用することができる。さらにパックを最後まで無駄なく使用することができ、底がヌメりにくいよう配慮した。17年の発売以来、主にオンラインショップで販売していたが、店頭販売を本格化することで使用をさらに促進する狙い。
花王グループは「毎日の暮らしの中で使用する製品を提供する企業の責務」として、製品のライフサイクル全体を通じた環境負荷の低減に積極的に取り組んでいる。2019年4月にESG戦略を策定し、19の重点取り組みテーマを設定。花王グループがこれまでの企業活動の中で培ってきた「よきモノづくり」の思想を「ESG視点でのよきモノづくり」へと舵を切り、環境や社会に配慮した取り組みに注力している。プラスチックごみ問題に対しては、包装容器の薄肉化、詰め替えの促進、濃縮化、大容量化などを実現。また、19年9月には、プラスチック循環社会の実現に向けてリデュースイノベーション、リサイクルイノベーションを推進していくと発表した。
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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