仮想通貨取引所16社によって構成されている日本暗号資産取引業協会(以下、JVCEA)は9月12日、5回目となる金融庁主催の仮想通貨交換業等に関する研究会において、仮想通貨交換業に関する自主規制ルールを発表した。
JVCEAは、金融庁から認可を受けた仮想通貨交換業を営む16社から構成される一般社団法人だ。仮想通貨交換業の健全な発展及びユーザーの利益の保護を目的とし、金融庁に対し仮想通貨交換業に係る認定資金決済事業者協会の認定申請書を提出している。
今回発表された主要な自主規制ルールは①仮想通貨の取扱いに関する規則②証拠金取引に関する規則③ICOの取り扱いに関する規則、の3つだ。
①仮想通貨の取扱いに関する規則
仮想通貨交換業者が新規の仮想通貨を取扱う場合、会員による内部審査を行った上でJVCEAへの事前届出が必要となる。JVCEAが異議を述べた場合には仮想通貨の取扱いはできない。審査内容は報告書形式により発行・取引状況、技術的事項などをモデル化し、利用者への情報提供も概要説明書の公表が必要となる。DASHやMonero、Zcashをはじめとする匿名通貨は、移転記録の追跡ができない又は著しく困難であること、マネーロンダリング対策やテロ資金供与対策、適切な監査の実施という観点から、これらの問題が解決されない限り禁止としている。
②証拠金取引に関する規則
レバレッジ取引における利用者の損失リスク及び過剰な投機的取引を抑制するため、証拠金倍率、ロスカット取引、価格かい離防止、自己勘定取引の4つを規定している。証拠金倍率は協会水準で4倍と規定されているが、1年限りの暫定措置で会員が決める水準と選択して利用が可能だ。ただし、会員の利用者に対して1年内に未収金が生じた場合には、その時点で協会指定水準に倍率を切り下げなければならない。ロスカット取引の導入を規定、証拠金取引価格のベンチマーク価格との乖離防止措置をとるべき旨を規定、証拠金取引における自己勘定取引の関与状況を明らかにするため各月の自己勘定取引結果の公表を規 定、その他取引価格の形成に影響を与えること等を禁止としている。
③ICOの取り扱いに関する規則
ICO取り扱いの規則では、会員が仮想通貨を発行・販売・交換を行う行為や第三者が発行した通貨を取り扱う際の自主規制を検討するとしている。現時点では、対象事業の適格性や実現可能性および実現可能性の審査、販売に関する継続的な情報開示、発行通貨の安全性の検証、調達した資金の用途の規定、合理的な販売価格の算出の自主規制化が検討されている。
2017年は記録的な価格の高騰によって仮想通貨の認知が広まった他、イーサリアムを利用したICOによる資金調達はICOブームと呼ばれるほど頻繁に行われた。JVCEAの定める自主規制ルールにより、仮想通貨市場が今後健全に発展していくことが望まれている。
【参照記事】仮想通貨交換業に関する 自主規制の概要について
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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