新興国向けの小口融資事業(マイクロファイナンス)を展開する五常・アンド・カンパニー株式会社は10月17日、シリーズCの最終募集(ファイナルクローズ)を完了、本ラウンドでの調達総額は42.2億円に、累計の資本調達額が76億円となったと発表した。マイクロファイナンスの既存オペレーションを向上するためのテクノロジー投資とアジア地域における拠点拡大を進める。
本シリーズのリード投資家は既存株主の第一生命保険株式会社が務め、今年9月末に実施したファイナルクローズではDIMENSION、アイザワ・インベストメンツ株式会社、SBIインベストメント株式会社、15th Rock Venturesが新たに株主に加わった。
同社は、世界中の新興国で低価格かつ高品質な金融サービスを提供する世界銀行の民間版を目標に掲げる。民間の世界銀行という組織は、2006年にバングラデシュのマイクロファイナンス機関「グラミン銀行」の創立者ムハマド・ユヌス氏がノーベル平和賞を受賞したことを契機に大きな注目が集めており、特にグループレンディングを主軸にするマイクロクレジット事業は世界中で成功を収めた。資本市場からの注目度も高く、この10年強の間に複数のマイクロファイナンス機関がロンドンやインドの証券市場に株式上場を果たしている。
同社は2014年7月に創業、30日以上延滞率は1%未満と貸付債権の質を維持しながら、年率200%以上のペースで事業を成長させてきた。19年4月から6月の四半期連結売上は10億円、同年9月末時点の顧客数は45万人、グループ全体の従業員数は2500名を超える。
事業の成長資金は、主に日本の個人及び機関投資家から調達するほか、日本国内の金融機関からの借入れた実績もある。グループ会社では地場金融機関や社会的インパクトファンドなど、合計50以上のレンダーから150億円以上を借入れており、今後は借入コストを引き下げるため、積極的に日本国内の金融機関との取引を増やす方針。
マイクロファイナンス機関の新規設立もしくは資本参加によってグループ企業を拡大しており、今後数年はインドネシアやフィリピンをはじめとするアジア市場での事業展開を計画。さらに東欧やアフリカ、ラテンアメリカへの進出も視野に入れているという。
現時点で45万人の顧客の返済履歴、ベースラインデータ、家計情報を収集している。今後は、より精度の高いクレジットスコアリングモデルの開発をはじめ、新興国の低・中間所得者層の顧客データベースを、ビッグデータとして事業に生かしていく計画もある。
【関連サイト】五常・アンド・カンパニー
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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