金融庁は12月15日、「ESG評価機関・データ評価機関に係る行動規範」を公表した。ESG評価・データ提供機関は、企業のESGに関する取組み状況やグリーンボンドなどのESG関連債、ESGに関連した融資の適格性について情報を収集・提供し、評価を行う機関。サステナブルファイナンス(持続可能な社会を実現するための金融)が世界的に拡大する中、同庁はESG評価・データ提供機関の役割が重要との認識のもと、その期待される具体的な行動を、「品質の確保」「人材の育成」「独立性の確保・利益相反の管理」「透明性の確保」「守秘義務」「企業とのコミュニケーション」の6つの原則とその実践のための指針として整理している。
同庁は2021年、「サステナブルファイナンス有識者会議」を発足。専門分科会では、ESG評価・データに係る現況、ESG評価・データが適切に提供・利用されるための関係者の課題、今後見込まれる展開などについて、幅広い議論が行われた。行動規範は、ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会が議論の結果をとりまとめた報告書に基づく。
同庁では行動規範(案)を公表して7月12日~9月5日までの間、広く意見の募集を行い、45の個人、団体から209件の意見を集めた。この意見は第8回専門分科会でさらに議論を行い、行動規範が確定。12月15日の第15回サステナブルファイナンス有識者会議に報告された。
国際的にも、昨年11月、IOSCO(証券監督者国際機構)で報告書「ESG格付け及びデータ提供者」を公表し、ESG 評価・データ提供機関とこれを利用する投資家、ESG評価・データの対象となる企業に関して期待される行動を提言として公表している。また、英国や欧州、インドでも、ESG評価・データ提供機関に係る規制の導入の可能性も含め、評価の質の向上に向けた議論が行われている。
なお、株式会社格付投資情報センター(R&I)R&I は同日、行動規範への賛同・受け入れを表明した。R&Iは16年に日本の事業会社による初のグリーンボンドに「R&I グリーンボンドアセスメント」を提供、19年には日本初のサステナビリティボンドに「セカンドオピニオン」を提供しており、ESG ファイナンスの外部評価の先駆者としての役割を担ってきた。22年9月には日本初のブルーボンドに外部評価を提供。「今後も ESG ファイナンス評価と ESG 関連サービスを強化し、国際資本市場の発展に貢献していく」としている。
【参照URL】金融庁『「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」の公表について』
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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