今年8月に独自の仮想通貨「エストコイン(estcoin)」のICOを発表したエストニア政府から、12月18日(月)に続報が届いた。まず前例のない状態での実施の難しさから一度は停滞したかと思われたエストコインのローンチを変わらず予定していること。そして、エストコインは「仮想通貨」ではなく「仮想トークン」という位置づけで発行するということだ。
あえて仮想トークンとする背景には、仮想通貨という概念を歓迎しない従来の金融機関、とくに欧州中央銀行からの批判があった。エストニアを含むEU圏の唯一の通貨はユーロであり、それを変えることは政府も国民も望んでいない。
一方で、起業家や投資家からはローンチに賛同する声もあがっている。エストニアは2014年から世界中の誰もがデジタル住民になり、オンライン上でさまざまな公共サービスを受けられる「e-Residency」システムを採用しており、エストニア在住でなくてもデジタルIDで銀行口座を作ったり、起業したりすることが可能だ。現在2万人以上がデジタル住民として登録しているという。
これからの方針として、エストニア政府はe-Residencyの起業家を支援する法律に改正する意思を示している。移民が増えて国土からあふれるリスクがないオンラインでの人口増加によるビジネスの活発化は、人口130万の小国エストニアにとってたしかな国力を確保できる政策だ。また、国家に保障された透明度の高いビジネスや、公共サービスへの投資を低コストで時間のかけずに行う手段として、エストコインそのものへの信頼性を高めることも可能だ。
エストニア政府は、2025年までにデジタル住民を1,000万人まで増やすという目標を掲げている。さらにエストコインのICOが実現すれば、世界で初めて独自のICOを行った国としての実績も手に入る。エストニアは合法な起業家をサポートし、ブロックチェーン技術によって世界中の誰でもビジネスができる環境の整った国だと世界に示すチャンスだ。
【参照記事】We’re planning to launch estcoin — and that’s only the start
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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