株式市場でESG(環境、社会、企業統治)に配慮した企業に着目する動きが広がっていることを受け、株式会社東洋経済新報社は全上場企業3739社を対象に、ESGの取り組み状況を調査した。透明性や客観性が重視される企業統治に関して社外取締役の人数と、多様性の確保につながる女性取締役の人数を調べた。結果の詳細は6月18日発売の「会社四季報2019年夏号」に掲載されている。
これまで企業価値の判断には業績動向など財務面の良しあしが重視されてきたが、機関投資家を中心に社会的責任を積極的に果たしているかどうか、企業統治が適切に実施されているかどうかも、投資先の選定に影響し始めている。「特に透明性や客観性が重視される企業統治に関して、経営の監視役として期待される社外取締役がどの程度いるかが関心の的」(同社)となりつつある。調査では、 社外取締役の人数が最多だったのは武田薬品工業の11人で取締役比率は69%。2位は東芝の10人(83%)、三菱UFJフィナンシャル・グループ9人(同56%)、日本取引所グループ9人(同64%)、日本郵政9人(同60%)といった企業が上位を占めた。
社外取締役の人数は2人の企業が最も多く456社。機関投資家からは社外取締役数を全体の3分の1以上に増やすよう求める声が強まっていることから、「今後は外部からの役員登用がますます進むとともに、企業側は適任者探しに頭を悩ますことになりそうだ」と推測する。
多様性の確保につながる女性取締役については、1人以上いる企業が493社で、ローソン、日本郵政など12社の3人が最も多かった。一方、女性管理職についても調べたところ、人数が多い企業はりそなホールディングス3164人(管理職比率29%)、セブン&アイ・ホールディングス2545人(同27%)となった。女性管理職に関しては今後の数値目標を掲げる企業も多くみられたという。
自社の製品やサービスを通じた社会的課題の解消に向けた取り組みについても調べた(複数回答可)ところ、「環境配慮型製品の開発、脱プラ、廃プラ再利用」が640社と最も多く、ついで「女性の社会進出」211社、「介護問題に対応した取り組み」184社、「途上国の生活環境改善」145社となった。
【参照リリース】投資家注目のESGを徹底調査
HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム
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