第一生命保険株式会社は7月30日、世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)が発行するサステナブル・ディベロップメント・ボンド(総額約108億円)の全額を購入した。同債券は食品ロス・廃棄問題への取組みを重点テーマとしており、同社は国内機関投資家として初めての投資となる。
第一生命は、日本全国の約1000万名のお客さまからの保険料をもとに、約35兆円の資産を運用する機関投資家(ユニバーサル・オーナー)として、「QOL向上」「地方創生・地域活性化」「気候変動」を重点テーマとしてESG投資を推進しており、欧州、アジア・太平洋、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海諸国、日本国際開発金融機関などが発行する SDGs 債にも積極的に投資している。
世界では8億人以上が飢えに苦しむ一方、先進国における過剰供給や、開発途上国における農業インフラの未整備による食品ロス・廃棄、およびこれによって排出される温室効果ガスが問題となっている。同債券の発行額は 1900百万メキシコペソ(約108億円)、償還期間は5年。調達された資金は、農作物の貯蔵技術の向上や食品廃棄物のリサイクル事業等、IBRDの食品ロス・廃棄問題への取組みなどに供給される。
第一生命は投資を通じて安定収益を確保するとともに、食品ロス・廃棄の問題の解決に向けたIBRDの取組みを資金面からサポートし、その進捗状況などを継続的にフォローしていく。
第一生命は、顧客からの保険料を基に約35兆円の資産を運用する機関投資家としてESG投資を推進する立場を表明しており、ヘルスボンドやジェンダーボンド、フィード・アフリカ・ボンドなど、国際開発金融機関などが発行するSDGs債にも積極的に投資を行っている。今年6月にIBRDが発行するグリーンボンド(総額約108億円)の全額を購入。7月には予防接種開発を支援するワクチン債へ52億円の投資を行っている。
「引き続き、運用手法の高度化・多様化によって資産運用収益の向上を図るとともに責任ある機関投資家として持続可能な社会の形成に寄与すべく、ESG投資に積極的に取り組んでいく」としている。
【関連サイト】第一生命:国際復興開発銀行が発行するサステナブル・ディベロップメント・ボンドへの投資について

HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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