3月3日に始まった中国人民政治協商会議(CPPCC)と同5日に始まった全国人民代表大会(NPC)で、今年は地方政府関係者から大手IT企業のCEOに至るまで、ブロックチェーンに関する広範なコメントが見られている。3月5日にCoinDeskが報じた。
ブロックチェーン技術はいまだ当局による指針がないことから、CPPCC参加者のコメントが注目されていた。2017年9月以来、中国はすでにイニシャル・コイン・オファリング(ICO)および仮想通貨と法定不換紙幣の取引を禁じる一方で、ブロックチェーンテクノロジーを駆使したアプリケーションの支援は強化している。
中国のインターネット大手Tencentの馬化騰(Pony Ma)CEOは同カンファレンスでブロックチェーン技術を適用するさまざまなシナリオを積極的に検討していると述べた。中国の大手検索エンジンとして知られる百度(バイドゥ)の李彦宏(Li Yanhong)CEOも、「ブロックチェーン技術は革命的だ」と述べた。一方で、両者ともにブロックチェーンはいまだに実需に達しておらず黎明期である認識を示している。
ブロックチェーン技術への関心が高まるなか、一部の政策アドバイザーや企業はブロックチェーン産業に疑問を呈している。インターネットセキュリティ会社Qihoo 360の周鸿祎(Zhou Hongyi)CEOは、「私が知りうる限りブロックチェーン技術の唯一の実例はビットコインだが、多くの取引所やウォレットでハッキングが相次いでいることから、ブロックチェーン技術には本格的なセキュリティの見直しが必要だ」と発言した。
現時点ではブロックチェーンは単なる投機対象として捉えられているにすぎないことを懸念する声も聞かれた。こうした問題に対処するために、中国人民銀行や中国証券監督管理委員会(CSRC)による仮想通貨マーケットの整備が提言、中国各地で実施されているブロックチェーン推進の提言など、ブロックチェーン開発を促進する方法が議論された。
今までのところ、ブロックチェーンや仮想通貨に対して保守的な姿勢の中国の中央政府だが、民間セクターや地方からの要望の声に耳を傾け、今後大きく舵を切るかどうかが注目される。
【参考記事】China’s Biggest Political Event Sees Blockchain Praise

HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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