ブロックチェーンデータ分析を行うChainalysisは4月20日、「2021 Cryptocurrency Gains by Country(2021年における暗号資産の国別上昇率)」を公開している。
Chainalysisが追跡しているデータによると、暗号資産による総利益は2020年には325億ドルであったのに対し、2021年には1,627億ドルを実現している。そのうち、米国が推定470億ドルの利益で大きくリードしており、英国、ドイツ、日本、中国がそれに続く結果となった。
報告では昨年と同様に、暗号通貨投資のパフォーマンスがGDPにおけるランキングを上回っていると思われる国が多く見受けられるとしている。例えば、トルコはGDPが2.7兆ドルで11位であるのに対して暗号資産の利益が46億ドルで6位に、ベトナムはGDPが1.1兆ドルで25位であるのに対して暗号資産の利益が27億ドルで16位に、ウクライナはGDPが5,760億ドルで40位であるのに対して暗号資産の利益が28億ドルで13位にランキングされている。
こうした一方、中国での活動が他国と比較して減少していることも判明している。2021年、中国の暗号資産の利益は51億ドルで、2020年の17億ドルから増加し、前年比成長率は194%に達している。しかし、米国では476%、英国では431%、ドイツでは423%の成長率を記録していることから鑑みると、中国は政府による取り締まりをうけて暗号資産による活動が減少している可能性が高いという。
また、各国の利益を暗号資産別に分類すると、イーサリアムによる利益が763億ドルとなり、ビットコインによる利益747億ドルをわずかに上回る結果となった。この背景には、ほとんどのDeFiプロトコルがイーサリアムのブロックチェーン上に構築され、主要通貨としてイーサリアムを使用していることから、2021年のDeFiブームの結果、イーサリアムに対する需要が増加したとされている。
ほとんどの国がこのパターンに従っているものの、日本ではビットコインの実現利益が40億ドル弱とはるかに高い割合を占めているのに対し、イーサリアムの実現利益はわずか7億9,000万ドルにとどまるなど、規制によりDeFiの普及が進みづらいとされる日本の現状も明らかとなった。
2021年はDeFiやNFTの成長に伴い、暗号資産業界が活況となった1年であった。昨今頻発するハッキングなど、業界が取り組むべき課題は残っているものの、新興市場国が送金や通貨切り下げへの対応として暗号資産を検討・導入し始めており、暗号資産が新興国市場のユーザーにとって経済機会の源泉となる可能性も看過できない。
【参照記事】2021 Cryptocurrency Gains by Country: Ethereum Leads as Gains Skyrocket Around the World
HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム
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